【鬼滅の刃】引きこもりニートしようとしたら鬼殺の剣士がいらっしゃったようで……？2【逆ハー】

Story64 ページ21

ファミレスのガヤガヤ具合はうちのお店とは少し雰囲気が違うもので、特にむいくんは落ち着かなさそうにしていた。その姿を見て、申し訳なく思う。今後、外食はできるだけ控えるか…。でも家に居っぱなしっていうのも、健康に悪いよねぇ。自宅と店の往復しかしていない私が言えることじゃないけど……。

むいくんはうどん、不死川さんさんはカツ定食、しのぶちゃんはマグロ丼と、和食を頼んだ。私は食べやすいという理由でチキンカツピラフ。ギブスを見せてカツを1口大に切ってください、って頼んだら、ちょっと嫌な顔されたけど。混雑時間帯にすみませんねー。

さくっとご飯を食べて、そのまま店に移動することにした。いやぁ、帽子と眼鏡でカモフラージュしているとはいえ、やっぱりこう…イケメンオーラっつーか美人オーラっつーか、そういうもんが溢れ出す訳ですよ。周囲の目がウザかった。車に戻った途端、はぁ、と全員で肩を落とす程度には。


「…お店でゆっくりしてから、仕事しよーか」
「そォだな……」
「気疲れ……ですねぇ…」
「Zzzzz」


約1名、すでにお眠りあそばされている方がおる。


「2人とも、寝てていいですよ」
「おぅ…」
「仕事もありますしね…お言葉に甘えて…」


目を瞑った2人をミラー越しに確認して、運転に集中する。あー、今日はこっちの道混んでんだ…じゃ迂回して…とか考えて。


「……Aさん」
「なに？しのぶちゃん」


静まり返った車内に、しのぶちゃんの小さな声が響く。後部座席の2人を起こさないように、だろうか。まるで囁くような声に返せば。


「何を隠しているかは知りませんが…きっといつか話してくれると、信じていますから」
「っ！！」


柔らかい声音とは裏腹に、私の胸を抉る言葉だった。急ブレーキをかけなかった自分を褒めちぎりたいくらいには、動揺してしまう。


「しのぶちゃん…」
「なにか事情があるのでしょう？それが分からないほど、馬鹿ではありません。…Aさんを信じます」
「…まだ数日しか一緒にいないのになんで信じられるの？」


思わずそう聞けば。


「貴女に害意はなく、むしろ善意から色々してくれていると、確信しているからです。これでも鬼殺隊の柱…隊士の上に立つ立場だったんですから。私も不死川さんも、時透くんも」


だから。


「隠し事をしていることで後ろめたい気持ちになる必要は、ありませんよ」


(思わず泣きたくなった)
(嗚呼、人の信頼とは)
(こうも温かいものだったのか)

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