【鬼滅の刃】引きこもりニートしようとしたら鬼殺の剣士がいらっしゃったようで……？2【逆ハー】

Story50 ページ2

5階のガスコンロは何年も使ってなくて危ないので、いつも電気ケトルでお茶を淹れていることを伝えたら、不満そうに唇を尖らせる無一郎君。かわいくて思わずよしよしと頭をなでる。


「ちょっと、何。俺子供じゃないんだけど」
「(俺…？)ふふ…でも無一郎君、14歳でしょ？私からしたら子供だよ」
「子供じゃない」
「くぁ、可愛い…！ああもうむいくんだ！君は今からむいくん！」
「何その呼び方。すごい不本意なんだけど」


だってむすって、むすって！効果音ついてる！かわいすぎか畜生！


「ごめんごめん、さ、お座敷戻ってお茶いれよ。何茶がいい？」
「種類あるの？」
「インスタント…簡易的なティーバッグっていうやつなら、ほうじ茶と緑茶…あとは紅茶と、ドリップコーヒーがあるよ」
「……緑茶」
「りょーかい」


彼の手を取って、座敷にもどる。パソコンの前にチョコンと座る彼に電気ケトルの使い方を説明し、目の前でティーバッグの使い方も説明。目が若干キラキラしたように見えるのは、気のせいじゃないだろう。初ティーバッグのティータイム、おそるおそる湯呑に口をつけて飲んだ感想は。


「…薄い」
「そう？もうちょっといれておいたらいいかな」


一度出したティーバッグをもう一度湯呑に放り込んで。私は紅茶を自分専用のマグカップで飲んでいた。


「ねぇむいくん」
「無一郎。……何？」
「むいくんのいた所はさ、いろいろと生活習慣とか様式が変わっていた激動の時代…なんだよね？」
「そうらしいね。僕は気にしてなかったから知らないけど」
「気にしてなかったって…生活してれば否応なくそういう情報入るでしょ？」
「…すぐ忘れちゃうんだ。だから、どうでもよかった」
「ぇ？」
「例えば名前。教えられてもすぐ忘れちゃう。だから誰と出会っても紹介されても、興味なんてなかった。だって、すぐ忘れちゃうから。…今はもう、大丈夫だけど」


そこまで言われてようやく気付いた。そうだ、彼は過去の凄惨な経験で心を閉ざし、記憶喪失になっている。その後遺症で教えられたことをすぐ忘れちゃうんだ。…私の馬鹿。知ってたのに、彼の傷をえぐるような無神経なことを…。


「それで？何か気になることがあるの？」
「…っ、うん。この世界でも使える知識がどれくらいあるのか、教えてほしくて…」


でもそれは、彼に聞いてもいいのか。ここにきてためらいを見せた私に、むいくんはため息をついた。


(そのため息に)
(思わず身を縮こませた)

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