story636 ページ48
それまで黙ってやり取りを聞いていた桑原が、口を開く。
「その前に、気づかれない様に建物の中に入らなきゃいけねーんだろ？」
「だからお手上げだと言ってるんだ」
「てめーも少しは考えろ！」
「キサマもな」
「喧嘩すんなもー…」
口を開けば喧嘩になる、この二人はまぁ、これが通常営業だ。だが時と場合は多少考えてほしい。
「飛影、和真と喧嘩してる暇があるならもう少し内部の様子を探ってくれ」
「これ以上何を探れと言うんだ」
「そうだな、見張りの監視をしているモニターの様子が知りたい。一か所につき何秒使っているか、奴らの会話も聞き取れれば上々だ」
「…そんな事をして何になる」
「もちろん、作戦に影響してくる。それとも…まさかそんな細かい事まではできねぇ、なんて言わねぇよな？」
ニヤリと笑った涼の言葉に、飛影のこめかみがひくっと引きつった。すぐに彼が集中し始めるのがわかる。やがて、千里眼に集中していた飛影から情報が出てきた。
「会議室のモニターは０．５秒ごとに十か所の画面を順に切り替えて監視している」
見取り図の一か所、見張りが居る場所にAと書いて、飛影の説明は続く。
「画面がAからまたAに戻るまでの時間は五秒、つまり五秒で配線コントロール室の見張りと入れ替わらなければならない」
「倒すだけなら一秒ほどですむが…」
ふむ、と顎に手をあてる蔵馬の横で、桑原がまた口を挟んだ。
「問題はその前に、どうやって中に忍び込むかだろ？」
「そりゃぁ和真の仕事だな」
「オレ！？もしかして次元刀すか！？」
「他にあるか？」
「どこ〇もドアじゃないんスよ！？都合よくあの中に切り込めると思うんスか！？それ以前に、次元刀だってうまく出せるかどうか…」
「平和になってその辺の修行していなかったのか？馬鹿か、阿呆。どんな時でも自分の能力は最大限に磨いておくのが常識だろう、ボケが」
「なんかひどいっすよ！？涼さん！」
打てば返すようなやり取りを見ていた飛影が、ふと何かに気付いた表情をする。
「ちょっと待て…やつらが何か話している…」
「「？」」
わざわざ報告するような会話なのだろうか。桑原と涼の視線が飛影に向かったのを確認したようなタイミングで、彼は言葉を続けた。
「どうやら異次元砲の標的は皿屋敷市だ」
「な、何ィいいいい！？」
「和真うるせぇ！！！」
(がっつん、と和真を蹴りながら、なるほど、と思う)
(和真の能力を引き出すための、最善の方法だ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです！ (2017年12月20日 14時) (
レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります！ (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい！ (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯霧
| 作成日時：2017年7月20日 16時
