story633 ページ45
幻海の寺から帰ってきて、すぐ役所に書類提出をした後。そのまま魔界に戻ろうかと思っていた涼を、予想外の人物が呼び止めた。
「良かった、間に合いましたね」
「……舜潤?どーした?」
妖力を使って魔界への穴を開こうと思った矢先の訪れに、驚きながら彼を見ると。
「霊界で事件が起きました。詳しくは浦飯さんのところでお話しますので、一緒に来ていただけませんか?」
「…分かった」
大竹の跡を継いで特防隊隊長となった彼の、直々の申し出。これを蹴れば後々煙鬼にいろいろ言われるのは間違いないと判断し、涼は舜潤と共に幽助のいるマンションへと向かった。
幽助の元を訪れ温子が茶を出してくれる中、舜潤からもたらされた知らせは驚くべきもの。
「審判の門が占拠された!?百人近い人質の中に、コエンマやぼたんもいるって!?一体どうして?」
「閻魔大王の罷免に対する抗議…か?」
審判の門と言えば、日本で言う国会議事堂みたいなものだ。涼が閻魔大王の裁判に出席したのも、審判の門だった。
「宗教テロです。武装教団、正聖神党」
それに対する舜潤の返答は、かなりあっさりしたもの。彼らの要求は単純明快。人間界にいる妖怪の排除と、結界の再設置。一日以内に返答が無ければ一分ごとに人質を一人殺し、最終的には人間界へ、異次元砲を発射する、というものだった。
「その異次元砲ってのは?名前を聞く限り、何となくやばそうだとはわかるが」
「我々が神を気取っていた旧時代の遺物ですよ」
「霊界にも宗教対立があるとは知らなかった」
ほへー、と呑気に相槌を打つ温子に、舜潤は必要ないだろうと思うような丁寧な応対をしていく。そのあいだ、涼と幽助はうーむと唸っていた。
「そもそも、旧時代の遺物ってなら、いわゆる遺跡モンだろ。仮にそれがあったとして、使えるのか?」
「仮にも何も、現物は保存されています」
持参した審判の門の見取り図を広げ、舜潤が一点を指さす。そこは。
「げっ、審判の門の地下格納庫に、異次元砲が!?」
ぎょっとした幽助の隣で涼は納得していた。
「なるほど、地下なら容易には動かせねぇからな。解体するにも知識が必要だから、旧時代の戒めとして保管してあった…ってとこか」
「ええ。すでに使用不能のはずでした。技師と管理責任者をはじめ、かなりの隠れ信者がいたのです」
(温子…呑気に茶ぁ啜ってていいのか?)
(アンタらが何とかしてくれんだろ?)
((はぁ………))
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なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです! (2017年12月20日 14時) (レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります! (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月20日 16時