検索窓
今日:41 hit、昨日:2 hit、合計:61,487 hit

story632 ページ44

幽助に愚痴をたっぷり吐き出した翌日、涼は幻海の寺を訪れていた。ちゃぶ台を背後に、ピコピコというゲームのシステム音が響く。


「っあ、くそ!」
「ふん、まだまだ甘いんだよ」


画面の端に追いやられ、連続コンボを決められた。画面に、【1prayer win!】の文字が瞬き、涼がコントローラーを放り出す。


「ったく、ばーちゃん幾つだよ…」


ゲームがこんなに強い老人というのも珍しい。思えば仙水との戦いでも、天沼の領域の中で彼女は素晴らしいゲーム技術を遺憾無く発揮していた。じとっと睨む涼に、幻海はニヤリと笑ってみせる。


「歳なんざ忘れたよ。たまたまアタシの趣味が、ゲームなだけさ」
「家庭用ゲーム機だけじゃなく、寺の境内にアーケード筐体入れてゲーセンもどきを作んのが、趣味かよ」
「金が余ったからな」
「固定資産税だけでも相当国に取られるだろーに…」


ちなみに固定資産税とは、動かせない資産……つまり土地や家屋に対して国がかけている税金の事である。


「まぁその辺は、ちと考えていることがあるからな」
「前に言ってた、私らに分与するって話か?それにしたって全員に贈与しちまえば、それぞれ贈与税がかかるだろぉが。そんな金、幽助とか和真が持ってるか疑問だな」
「そうだ。だからな、涼。これを、役所に提出してきてもらえんか?」


不意に幻海の懐から取り出されたのは、薄っぺらい紙。それを手に取り、涼は目を丸くした。


「…養子縁組?私とばーちゃんが?」
「あぁ。アタシには子供がいない。かと言って、この寺を…ひいては土地を相続できる血縁者もおらん。奴らの負担を考えても、誰かが代表ですべての土地を相続し、それを各人に売ったという事にした方がよかろう」
「で、その代表が私か?にしたって、養子縁組を組む必要なんてねぇだろ」


必要な証人の名前は、すでに記入されている。幻海の戸籍上の名前と捺印もされていた。あとは涼が署名捺印して役所に届け出れば、二週間前後で戸籍に反映されるだろう。だがなぜわざわざ?という顔をした涼に、幻海は笑ってみせた。

「先行き短い老いぼれだが、おまえさんの母親になるのも悪くは無いだろう?」


(それが例え戸籍上だけの事であっても)
(アタシは涼を娘のように思っているし)
(涼もアタシを慕ってくれていると分かっていて)
(だからこそ、そんな提案をした)

story633→←story631



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:飛影 , 幽遊白書 , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです! (2017年12月20日 14時) (レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります! (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月20日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。