story630 ページ42
魔界へ来て、しばらく。飛影と共にパトロールに勤しみ、仕事に慣れ始めた頃の話だった。
「涼、悪いが人間界に行ってきてくれ」
「は？なんで」
呼び出された謁見室に座る躯からの言葉に、涼は眉を寄せた。数ヶ月、魔界から人間界へ行く用事など言い渡されたことがない。
「なに、単に視察をしてきてほしいんだ。飛影は面倒がって行かないだろうしな。お前なら向こうでの暮らしも長いし、浦飯たちとの繋がりもある」
「あー…そりゃ、人間界に行ったヤツらがどんくれぇの頻度で悪さをしてるか確認してこいっつーことか？」
「まぁ、そうなるな。結界が無くなり、人間界に移住した妖怪の数も増えた。そろそろ問題が出てきてもおかしくない」
「めんど」
「お前のパトロールに関しては、武威と時雨にやらせる。すぐに出発してくれ。頼んだぞ」
涼の抗議を最後まで言わせず、躯はにっこり笑って命令を下す。こうなったら、どうにもならない。深いため息をついて、涼は謁見室をあとにした。
(視察っつってもなぁ…)
以前コエンマにも、人間界への影響を報告するよう言われたが、如何せん人間界は広い。全てを見ることは不可能だし、流石に躯もそれは理解しているはずだ。
「つまりはなんだ、幽助とか和真に話聞いて、あとは…ばーちゃんとこにでも行けばいいか」
ざっと日程を組み立てると、大体三泊四日もあれば良さそうだ。宿泊は自宅を使えばいいし、必要なものも一通り揃っている。
「あとは飛影、か。…行かないよなぁアイツは」
晴れて共に住む事になった二人だが、特に関係性の進展はない。聞けば魔界で結婚にあたる儀式や仕来りのようなものは無いそうなので、現状でも実質夫婦みたいなものらしいのだが、あまりピンと来ないのは事実だ。しかし、魔界に来てから飛影の意外な面を発見した。
(独占欲強いんだよなぁ…躯が説得してくれてりゃ、楽なんだけど)
最近では二人の喧嘩すら楽しんでいる様子の彼女に、期待するだけ無駄だろう。彼をどう説き伏せるか悩み、結局いつも通りにするしかないと結論づけた涼は、頭を抱えたくなった。
(……なに？)
(仕事で人間界にいく。以上)
(だめだ)
(っつーのは躯に言え。私だって面倒だっつの)
(貴様が断ればいい話だろう)
(断れればそうしてるっての！)
(とにかくダメだ、許さん)
(だぁあっこの亭主関白気取りが！)
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なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです！ (2017年12月20日 14時) (
レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります！ (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい！ (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2017年7月20日 16時
