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story617 ページ29

結局躯に押し切られる形で、武威と時雨は涼の部下という事になった。ただし、本格的に涼が魔界へ移住してからという条件付きだ。ただでさえ疲れていたというのに更なる疲労を感じ、その日は百足に泊まることにする。


「あー…もう無理死ぬ」
「軟弱な野郎だ」
「だから…もういい」


飛影の部屋で問題ねぇだろ、とニヤニヤ笑いながら告げてきた躯に一発かましてやりたいと思ったのは、ついさっきの話だ。もっとも実行できるわけがなく、涼は飛影の部屋に入って早々ベッドに飛び込んだ。ふかふかの枕に顔を埋める。


「いつ人間界に戻るんだ」
「疲れたし、明日にするわ…」
「そうか」
「蔵馬は帰ったんだろ?」
「あぁ。…あいつも、貴様と同じ融通の利かん野郎だった」


ちゃり、と音がする。視線だけを飛影に向けると、その手からは氷泪石がぶら下がっていた。


「それ、雪菜の?」
「そうだ」


涼の時と同じように彼に託そうとして、断られたのだと肩をすくめる。ちなみにそのやり取りの間に『俺にはそういう趣味はない』なんて阿呆な事を言われたことまでは告げなかった。


(この教師にしてこの教え子あり、というやつか…)


妙なところで彼らの共通点を見つけてしまった時点で、ため息が止まらない。そんな飛影のもとに、パタパタという軽い音が聞こえてきた。同時に頭に(なりたくもなかったが)馴染みになった重さが乗っかる。


「…おい、こいつをどうにかしろ」
「めんどい」
「貴様…」
「ぴっぴー!」


幽助の平な髪型と違い飛影の髪型は乗っかれば多少ツンツンするはずなのだが、白揺は気にも留めず居心地の良い場所を探すためにぐるぐると回った。その身体をむんずと掴み、涼へ投げつける。


「ピィ!!」
「いてっ…おいなにすんだよ、せっかく寝かけてたのに」
「フン、知るか。ペットの躾けをしない貴様が悪い」
「白揺はペットじゃねぇって何度言えば理解するんだか…」


投げつけられた白揺は涼の頭にヒットして、ぽとりとシーツの上に落ちた。自らの分身がぷりぷり怒るのを見ながら、彼女は白揺を抱えてシーツにもぐりなおした。


「頼むから寝かせろ、ガチで」
「…今だけだ」
「は?」
「明日には人間界に戻るんだろう?…今日は眠れると思うなよ」
「いやマジ辞めてください」


ニヤリと笑う飛影に、顔を赤くしながら首を振る。彼が遠慮などしなかったら。


(明日もまた疲れて)
(帰れなくなるじゃねぇか!)

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なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです! (2017年12月20日 14時) (レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります! (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月20日 16時

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