story614 ページ26
移動要塞、百足。躯の拠点であるそこに、涼は招かれていた。目の前には大きなソファ(ただしまるでベッドのような大きさで、大きすぎるそこに躯が一人で座る様はまさに権力者だが)に座る躯。その前に、小さな丸テーブルとイス。そこには飛影が我が物顔で座っている。さらにその隣には、地面に膝をつく奇琳、時雨、なぜか武威の姿。
「…なんだこれ」
案内された謁見室だろうか。そこに足を踏み入れた彼女は、目を丸くした。大会はようやく終わり、先日メインスタッフたちを労る慰労会をしたところだ。その時武威とは別れ、彼は彼の道を行ったはず…なのだが。時雨なんて、あの会話をした時以来顔を合わせていなかった。
「ようやく来たか。おせぇぞ」
「いや、私一応運営責任者だったし…これでも諸々終わって休む間もなくここに来たんで最速なんだが…」
「俺は待ったんだよ」
「知るか!」
どこまでも自分本位な躯に思わず叫んだら、肩越しに奇琳に睨まれた。だが知った事ではない、涼は今のところ、躯の部下でも何でもないのだから。
「それで、なんだよ?」
「お前が人間界に戻る前に、きちんと話しておきたくてな」
「あー…それは私が躯のところに行くとか行かないとかそーいう話か。前にも言ったが、せめて蔵馬の卒業…あと半年は待ってほしいんだけど」
「それは構わねぇ。俺が言っているのは、その後の話だ」
「その後…?つかなんで、この四人がここにいるんだよ」
そんな話をするだけなら、躯と涼だけでも構わないはずだ。椅子に座る飛影と床に膝をついている三人を示せば、躯はくつくつと喉の奥を鳴らす。
「まぁ、そう結論を急ぐな。まずは茶でもどうだ?」
「…はぁ、貰うわ」
(躯がパチンと指を鳴らすと)
(どこからともなく現れた女妖怪がティーカップとティーポットをテーブルに置いていく様子に)
(なぜか私は、非常に疲れた)
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なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです! (2017年12月20日 14時) (レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります! (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月20日 16時