story603 ページ15
空中に舞い上がった幽助を追いかけ、黄泉が跳んだ。
「俺はすべてを投げ打って、今戦う事だけを考えている!お前が、俺をそうさせたんだぞ!」
二つの拳が、幽助を打ちのめす。だがどれだけ殴られても、幽助の瞳に力は戻らない。
「……っけ…よ…」
「涼?」
聞き取れなかった言葉に、飛影が涼を見る。唇を噛みしめ、拳を握り締めた涼が、歩き出した。その歩みはすぐに駆け足になり、全力で走り始める。突然の事に飛影は驚く事しかできない。
「っけんな…!」
怒りのまま、実況席に飛び込んだ。えぇ!?と驚く小兎と妖駄を無視して、妖駄の前にあるマイクをひっつかみ口元へと持っていく。
「何をやってる、この馬鹿弟弟子めが!」
キィイインッとハウリングを起こす勢いで、マイクに怒鳴りつけた。この声は、闘技場の幽助にも届いているはずだ。
「ケリをつけると息巻いたのはどこのどいつだ!?そのためにわざわざ魔界まで来たんだろぉが!今更なにをぶれていやがる!戦う事しか出来ねぇバトル馬鹿のくせに、変な考え事するなこの馬鹿たれぇええっ!」
「ちょ、涼さん!?」
まさかの乱入者にワタワタする小兎を押しのける。これだけは言ってやらないと気が済まない。
「最初にトーナメントの話を持ち込んだのはテメェだろぉが!わざわざ私を人間界から呼びつけてまでやりたかったことだろぉが!なのにそれを途中で放り投げるつもりか!?てめぇは雷禅から何を学んだんだ!よく思い出せ!戦う意味なんて考える余裕があんなら、テメェを待ってる奴らの事をきっちり考えやがれぇええっ!」
それは雷禅の腹心であり現在幽助を慕う北神たち、元雷禅の国の国民たちの事。それは今ここで戦いを見守る、蔵馬、飛影、涼、陣、凍矢、酎、鈴駒、鈴木、死々若丸、コエンマ、ぼたん、ジョルジュの事。それは人間界で幽助の帰りを待つ、桑原、幻海、雪菜、静流、温子、プー、そして…瑩子の事。
「ここで死ぬような腑抜けなら、和真連れて霊界まで乗り込んでテメェの根性叩きなおしてやらぁ!それともそうされたいくれぇマゾだったのかてめぇは!」
涼の怒鳴り声をBGMに、黄泉の拳が幽助の顔面に炸裂した。その瞬間、今までやられっぱなしだった幽助がぎっと黄泉をにらみつける。
「てめぇっ、おらぁ!」
ガンッ!と黄泉の顔面にカウンターが決まった。
(…はっ、妖駄さん、これ予備のマイクです)
(…小兎さん、プロですな…)
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なむなむ - 更新ありがとうございます。完結が楽しみです! (2017年12月20日 14時) (レス) id: a04af66b4a (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - >コメントいただきました皆様:まとめての返信、ご容赦下さい。おまたせして申し訳ございません。年内にはなんとか完結できるように頑張ります! (2017年12月16日 8時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
pさん - 完結まで頑張って下さい!! (2017年11月30日 9時) (レス) id: b9986b9fac (このIDを非表示/違反報告)
かなた - はじめまして。私のような者が大変烏滸がましいのですが、楽しく読ませていただいております。更新楽しみにしてます。頑張ってください┏○" (2017年10月27日 0時) (レス) id: 184ad4d852 (このIDを非表示/違反報告)
(*^^*)(プロフ) - どうか完結まで頑張って下さい! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 734043d3b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月20日 16時