story84 ページ36
たっぷりパクノダにからかわれたその日の夜中すぎ。Aはほろ酔いの状態で寝ていたのだが、ふと目が覚めた。喉が渇いている。まぁワインをあれだけパカパカ飲めば(二人で五本ほど空けた)当たり前なのだが。上体を起こした時にその気配に気づき、一気に酔いが覚める。
「だっ」
誰だ、という言葉は文字通り唇を塞がれることで言葉にならなかった。目の前に広がる顔に、緊張が解けていく。
「…ワタシが入てきても寝てるなんて、無防備すぎね」
「お酒飲んでいたんだから」
「だたら敵が待てくれるのか？」
「それはそうだけど…っん、」
まだ納得してない様子のAの唇に、侵入者…フェイタンのくちびるが再び重なった。
「んっ、ふ…」
身をよじり肩を押し返そうとすれば、それは思わぬ力で押さえつけられてしまう。結局唇が解放されることはなく、だがそれ以上動いてくる様子もなかった。
「は…」
フェイタンの吐息とともに解放され、ようやく口で呼吸ができるようになる。
「何がしたいの？何のつもり？」
眉根をよせてそう問いかければ、フェイタンが同じように眉を寄せてこう返した。
「そんなの、ワタシが聞きたいよ」
「……はい？」
いい意味でも悪い意味でも自分に素直な人間なのだとは理解していたが、まさかここでこう返されるとは思っておらず、Aはきょとんとする。フェイタンはフェイタンで、困惑した表情を浮かべていた。
「お前がいないと、寂しいね」
「……はい？」
「それが一番、正しい言葉だと思うね」
「…はぁ」
Aの上に乗ったまま、フェイタンは首筋に顔をうずめてくる。くすぐったさに顔を背ければ、拗ねたように鼻を寄せられて。
(甘えている？フェイタンが？自分で拠点を変えるといったくせに？)
与えられたフェイタンの部屋で、フェイタンの香りのするベッドに埋もれ、フェイタンに包まれる。それは今までも何回かあったことではあったが。
(…状況が違うと、こうも感情に左右されるものなの？)
べったりだった時とは違い、今、フェイタンは本来ならここにいない人。だからこそ。
(だからこそ私は)
(私の気持ちのままに)
(彼の背中へと腕を回して目をつむった)
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累 - とても面白いです！つづき楽しみにまってます！頑張ってください、応援してます！ (2020年4月6日 12時) (
レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます！ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が！まだわかりません！（←）でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません！いつもありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです！早く更新停止が終わることを願ってます！頑張ってください！ (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2017年7月10日 18時
