story81 ページ33
夕食は皆で(相変わらず騒がしく)食べて、その後簡単なツマミと酒を持ったAは、パクノダの部屋に案内された。しばらく使っていなかったとは思えないようなこざっぱりとした部屋だ。
「へぇ…これが、パクノダの部屋…」
「そうよ。何も無い、つまらない部屋でごめんなさい」
「ううん。そんなことない。素敵だよ」
本心からそう思う。確かに置いてあるものは最低限だが、窓際には小さなサボテンの鉢植えがちょこんと置いてあった。カーテンは濃いブルーで、その色に合わせた棚が部屋の雰囲気をピシッと締めている。コンクリートの打ちっぱなしの壁とのコントラストが、ちょうど良い。テーブルは木製のもので、丸いスツールの天板もそれに合わせた木製のもの。足だけが黒い金属なあたり、雰囲気が甘すぎずに部屋とマッチしている。
「私、この部屋好きだよ」
「そう、良かったわ」
ほっとしたように笑うパクノダに、Aも軽く笑い返した。向かい合わせに座って、ワインを注ぐ。
「それじゃあ、今日はお疲れ様」
「ありがと」
チンッと軽い音が響いた。用意した白は、フェイタンに頼んで盗って来てもらったものだ。あのままマース組にいたら、Aなど一生飲まなかっただろう高級酒は舌触りがまろやかで、二人は美味しい、と笑いあった。
「それで、今夜はパクノダから話が聞けると思っていいのかな」
「ええ、もちろんよ」
パクノダがグラスを置いて、ツマミのウォッシュチーズを一口つまんだ。ちなみにこれを盗ってきてくれたのは、フランクリンだ。頬杖をついた彼女が、グラスの中身を揺らめかせながら口を開く。
「第一印象は、明るい子…だったかしら。悪く言えば何も考えていないようにも見えたわ」
「それはなんというか…脳天気ってことかしら」
「そうとも言うわね」
悪びれなくバッサリとそう口にした彼女の言葉に苦笑し、Aは話に耳を傾け続けた。
「でも自然と、みんなの中心にいることが多くなっていったわ。それが貴女の能力…人を観察し、洞察する能力のおかげだと教えてくれたのはクロロだったけれど」
「クロロはそんな私に『胴体』の役目を与えた…」
「その能力が適していたのは確かね。彼は、不必要な事をしない人だもの。…でもAがAである限り、その役目をいつかは担わせた…私はそう思うわ」
(少し寂しそうに言うパクノダに)
(いわゆる女の勘というものがピンときた)
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累 - とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時