検索窓
今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:44,682 hit

story50 ページ2

Aをベッドに放り込み、マチに連絡をして終わり。そのはずだった。


「きもちぃいー…」
「お前酔払いか」


Aがフェイタンの腕を掴まなければ。よほど低体温の彼の手が気持ちイイのか、頬を擦り付けてくる始末だ。いつもなら力づくで引き剥がしているが、一応彼女は(フェイタンの拷問が八十パーセント原因の)怪我をしていて、そんな状態にも関わらず今日は夕飯を作ってくれた。流石に無下にはできない。


(やれやれ…面倒ね)


とりあえず熱で思考がまともじゃないんだろうと結論づけ、ベッドに腰を下ろす。Aが離れない以上、身動きが取れないのだ。なにせがっちり腕にしがみつかれているのだから。


「はぁ…ささと寝るよ」
「ふぇーい…」
「…マチにたぷり、怒られるといいよ」
「ふぇーい…?なんでー?」
「……頭痛いね」


思わずこめかみに手をやってしまった。彼女の相槌が、今ではフィンクスしか呼ばないフェイタンの愛称と同じ音だからなお悪い。触れてる肌は、先程よりも高い熱を伝えてきている。おそらくAがふにゃふにゃになったのは、熱が上がったせいだろう。


だが。それにしても。


「ふぇーい…」
「誰に返事してるか」
「ふぇーい…」
「………はぁ」


まともな会話にすらならないこの現状は、如何なものか。こんな姿、流星街にいた時すら見たことがなかった。と言うより、こんな風に体調を崩すことなどほとんど無かったのだ。


(……いや、一度だけあたね)


ふと思い出したのは、流星街に珍しい雪が降ったある日のこと。幼いウヴォーやフィンクスたちとAが雪にはしゃぎ雪にダイブし、そしてそのまま遊んでいたおかげでがっつり風邪を引いた事があった。もちろん、フェイタンはそれを傍観していただけなのだが。


「…すぅ……」
「……寝たなら放すね」


腕を抜こうとしても、抜けない。確かあの時も、こんな風にベッドに釘付けにされた。


(こんな所で昔と同じAを見る)
(それは嬉しいようで複雑な気持ち)

story51→←story49



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
170人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。