Story13 ページ14
格闘術の修行は、苛烈を極めた。まずはひたすら、打たれ強くなる鍛錬。Aの攻撃をひたすら受けて、受けて、受けて、気絶するまで受け続ける。一回気絶すると少しだけ休憩をさせてもらえて、その後はひたすら受け身を取る鍛錬。どんな体勢でも受け身を取れるように転がされ、転がされ、打ち所が悪くて気絶して。
そこまでやって、二度目の休憩。昼食を挟んで次は呼吸の鍛錬。Aの言う通りにひたすら肺を広げ、血の巡りを意識し、げほごほと咳き込めばそうじゃないと腹を強く殴られた。
「実弥は腹筋と背筋のバランスがよろしくないね。もう少し背筋を鍛えなさい」
そう言われて、今度は筋トレだ。背筋を重視しつつ、身体にまとう筋肉の部位を覚えさせられ、そのすべてを意識した鍛錬を積む。筋肉の名称をそらで言えるようになったころ、唐突に言われた。
「山に数えきれないくらいの罠を用意させてもらったよ。今日からは、まずこの小屋から山頂までを毎朝十往復すること」
いつの間にそんな罠を、と驚いていたら、カクシが手伝ってくれたのだよ、と笑う師匠。カクシってなんだと首をかしげながら山を登ってみれば、まぁ岩は落ちて来るわ落とし穴はあるわ横殴りの丸太が飛んでくるわ…。十往復するのに午前中一杯かかったら、笑顔で遅いと言われた。
どうやら罠の位置は、日ごとに変わるらしい。夜の間にカクシとやらが山の中に罠を仕掛けているようだ。この罠を仕掛ける方も大変だろう、と実弥は心の中で合掌していた。
二ヶ月が経った頃、罠の難易度が上がった。岩だったものは矢になり、丸太だったものは槍になり、本気で殺しにかかっているとしか思えなかった。だが実弥は音を上げることなく粛々と毎朝十往復を繰り返した。刀を持っていてよかったと、本気で思った。素手では矢や槍を払う事は出来ないからだ。
「さて、そろそろ刀の扱い方を勉強しようか。まずは素振りだよ」
罠の難易度が上がったのと同じころ、Aにそう言われて修行内容が追加された。山の十往復が終わった後、素振りを毎日五百。初日は百振ったところで手の皮がずる剥けになり、中断せざるをえなくなった。だがそれも何回も繰り返せば手の皮が分厚くなり、やがて五百など問題なく振れるようになった。
(こうしてこの山に来て一年)
(俺は十三歳になった)
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灯霧(プロフ) - 陽さん» コメント、ご指摘ありがとうございます！修正させていただきました！これからも読んでいただけると幸いです！ (2021年3月21日 20時) (
レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませていただいています。…が、一つご指摘失礼します。宇随、ではなく、宇髄、です。直していただけるとありがたいです…細かいところをすいません。失礼しました (2021年3月21日 19時) (レス) id: 9d67b7c326 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 実弥＆サソリLoveさん» コメントありがとうございます！そう言って下さる方がいて控え目に言って最高です。（←）これからも頑張ります！ (2020年12月29日 17時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 玄弥さん» コメントありがとうございます！更新不定期でごめんなさい、でも頑張りますので見守っていただけると嬉しいです！ (2020年12月29日 17時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - みぃむぅさん» ああ成程！納得！（←） (2020年12月29日 17時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2020年12月1日 16時
