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Story11 ページ12

着物をあつらえ終えると、次は日用品の買い出しだ。それが終われば、今度は食料品。かなりの大荷物になったが、二人で手分けして持てば意外に持てるものだと、実弥は実感していた。


「さて、お昼を食べようか。何か食べたいものはあるかい?」
「別に…」
「…ふむ。好きなものはないのかい?甘味とかでも構わないが」


そう言われてふと脳裏によぎったのは、母がつくってくれたおはぎだった。小豆の優しい甘さと、適度なしょっぱさ。


「…おはぎィ」
「そうか。実弥はおはぎが好きなんだな」


別にからかう事もなく、Aは微笑みながらそれを受け入れる。家族が生きている時だって、男が甘いものを好きなんてという子供は多くいた。その反応に慣れていた実弥からしてみれば、かなり意外なことだ。


「ではお昼を食べたら、ここの甘味処に行こうか。私もあんみつを食べたいしね」
「…昼は何を、食べるんですか」
「そうだねぇ…。お蕎麦とかどうだい?」
「…別に、俺はなんでも」
「なら決まりだ。さぁさ、行こうか」


帯にさした風車がカラカラと回る音を聞きながら、二人は町の中を歩く。平和な町だと、実弥は思った。まぁ夜になればまた違うのかもしれないが、ここはのどかでいい町に違いない。住んでる人たちの笑顔が、そう言っているような気がする。

Aに連れられて暖簾をくぐり、蕎麦屋に入った。そこで注文を済ませた後、Aが実弥を見た。


「さて、どうだい?最近は」
「どう、と言われても」
「修行には慣れてきたかい?身体は?ついてくるようになったかな?」
「そりゃぁ…前に比べりゃ」
「刀の重さはどうだい?」
「持っているとかなり動きが制限されるのは驚いたけど、慣れました」
「そうかい。良い傾向だ」


クスクスと笑う彼女に、首をかしげる。はたから見ているAの方が、よほどわかっていそうだが。


「でも実弥、無理はいけないよ。特に君は、まだ成長期だ。身体が上げる悲鳴には、素直になりなさい。…それを聞き入れるかどうかは、また別だけれど」
「え゛」
「ふふ、限界の限界まで鍛えなきゃ、鬼となんて戦えないさ」


にっこりと笑ったところに、注文の品が届いた。箸を取っていただきます、と頭を下げるAに倣って、実弥も同じようにし、蕎麦を啜る。


(だが慣れてきたと言うなら)
(そろそろ、次の段階に進んでもいいかもしれない)

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灯霧(プロフ) - 陽さん» コメント、ご指摘ありがとうございます!修正させていただきました!これからも読んでいただけると幸いです! (2021年3月21日 20時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませていただいています。…が、一つご指摘失礼します。宇随、ではなく、宇髄、です。直していただけるとありがたいです…細かいところをすいません。失礼しました (2021年3月21日 19時) (レス) id: 9d67b7c326 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 実弥&サソリLoveさん» コメントありがとうございます!そう言って下さる方がいて控え目に言って最高です。(←)これからも頑張ります! (2020年12月29日 17時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 玄弥さん» コメントありがとうございます!更新不定期でごめんなさい、でも頑張りますので見守っていただけると嬉しいです! (2020年12月29日 17時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - みぃむぅさん» ああ成程!納得!(←) (2020年12月29日 17時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年12月1日 16時

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