story48 ページ49
「で、俺達ゃ何やればいい！」
「…何故そこでそんなに目を輝かせているのか小一時間問いたい」
大きな身体で意気込むウヴォーギンに、Aは一歩後ずさった。物理的にも精神的にも、圧迫感が凄い。
「手伝いなんざ珍しいからだろ。それより、飯食うために何やりゃいいんだ？」
ボリボリ胸元を掻くノブナガに問われ、メモを差し出す。
「とりあえず、この材料を揃えてほしいんだけど」
「卵、米、トマト、ピーマン、鶏のモモ肉……何作るんだ？」
「二十人前もまともに作っていられないからね。オムライス」
「相当な量だな、こりゃ」
「ちゃんと分量計てるのか？」
フェイタンフィンクス組の言葉は聞き流した。彼らを相手にしている暇はない。
「分担は任せるから。ただし、お米は早めに届けること。その時間で夕飯の時間が変わるから」
「おう！そんじゃあ米は任せておけ！」
「んじゃあ俺は肉だな」
「そうすると、俺とフェイで野菜か」
「……はぁ。仕方ないね。美味いメシのためよ」
「それは美味いメシじゃなけりゃ許さんというハードル上げですか」
「「「「当たり前だろ(ね)」」」」
幻影旅団女性陣は、これをどうしていたのだろうか。本気で疑問に思いながら、Aは四人を見送った。廃ホテルのキッチンは広く、掃除も行き届いている。調理の準備と順序さえなんとかすれば、まぁ作れなくはないだろう。
「…他人に食べさせる料理なんて作ったこと無いんだけどな」
完全に独学で学んだ料理の腕が彼らに通用するかどうかは、かなり不安だ。まぁ殺されることは無いとしても、嫌味を言われたりする事くらいは覚悟しておくべきだろう。
(ため息混じりに、準備を始める)
(その時、私の顔が少し笑っていたことになんて)
(気づかないまま)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2017年6月25日 15時
