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story12 ページ13
「……最後の質問だ。お前は誰だ？」
クロロの問いかけをパクノダが復唱し、彼女に触れる。まず流れてきたのは、真っ白な光。
「！？」
原記憶を辿るという能力で、初めての経験だった。まるで現実のもののような真っ白な光に、思わず目を瞑りながらパクノダは記憶を探る。
「……貴女」
全てを悟った瞬間、一歩、二歩と後ろによろけた。それをマチが支える。
「パク！？どうしたんだい！？」
彼女に答える前に、また光が見えた。先ほどの光とは違う、これは念の光。捕えられていた女の全身が光っている。
「……やっとか」
掠れた声に、手を伸ばした。
「待って…待って、『A』！」
「さよなら」
手が届く前に、女は消えた。
「「「！？」」」
体を貫いていた鉄筋や釘、纏っていた衣服を残して、彼女は文字通り『消えた』のだ。これには流石の幻影旅団と言えど、驚いた。
「消えた…？」
「…ダメね。円の効果内にはいないよ」
呆然とするマチと一足先に冷静さを取り戻したフェイタンの横で、クロロがしゃがみこむ。彼女の着ていた衣服を手に取り、考え込んでいた。
「…クロロ」
崩れ落ちたパクノダの目から、涙が零れた。名前を呼ばれたことに驚きながら、彼はパクノダに向き直る。
「パクノダ。奴は何者だ？」
「彼女は…A。私達が探していた、『A』よ！」
(三人の驚く気配を感じながら)
(私は涙を流し続けた)
(ようやく見つけたのに、と)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2017年6月25日 15時
