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story10 ページ11
「げほっ…」
バシャン！と容赦なくかけられた水のお陰で、少しだけ喉が潤う。
「いた、いに…きまってる」
今も傷口にかかった水が染みて堪らない。霞む視界で旅団のリーダーを見つめた。
「そうか。だが君が能力を見せてくれれば、問題は解決するんだがな」
「だから…出来ないと言っているだろう…。何度言わせるつもりだ…馬鹿かお前ら」
そう言った瞬間、両足の甲に新たな鉄筋が突き刺さった。床に縫い付けられた痛みで、ガタンッと椅子が揺れる。
「ぅぐぁあっ…！」
「次生意気な口利いたらこうする、言たはずよ。自業自得ね」
それを成した男はしれっとそんな言葉を口にした。
(私、別にマゾヒストじゃないんだけどな…)
生理的に流れる涙すら、傷口に染みるだけの苦痛だ。荒くなった呼吸をなんとか治めようと喘いでいると、リーダーの男が動いた。赤い髪をがしっと掴み、無理やり顔をあげさせられる。
「なるほど。では探らせてもらおう。…パクノダ」
「えぇ」
見覚えのない女が、近づいてきた。クロロの横に立ち、Aを見る。
「質問は？」
「そうだな…まず、能力はなんだ？」
「了解。…貴女の能力は、なに？」
(私の肩に触れながら、女が問いかける)
(その触り方が出来るだけ痛みを感じないようにしているように思えて)
(なんだ、優しいところもあるんだ、なんてどうでもいい事を考えた)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2017年6月25日 15時
