story7 ページ9
徐々に重さを増す天井に、涼は限界が近くなっていた。
「大丈夫…じゃ無さそうですね」
「力仕事は専門外ってな……あーもう、面倒い…」
軽口のように聞こえるが、実際限界は近い。額から流れる汗、震えている身体がそれを証明している。そしてそれは、涼だけの話ではない。
「飛影！壁にあるあのレバーを引き上げてくれ！この中で一番素早いのは、飛影、オメーだ！」
「バカヤロー浦飯！血迷ったのか！？お前が行け！俺はそいつはいけ好かねぇ」
「その潰れた顔の奴の言う通りだぜ」
「潰れたって……誰がだこらぁ！」
(上手いな)
静流はあんなに美人なのに、こうも遺伝で格差が出るものなのか。確かに桑原姉弟は謎だ。
「俺なんか信用してもいいのか？俺はお前を倒そうとした男だ。そのままずらかるかも知れないぜ」
「自分で言っちゃうんだ、それ」
「先生！」
ボソッと呟く涼をたしなめ、蔵馬は二人のやり取りを見守る。ここで何も出来なければ、この先も生き残ることは出来ない。幽助がどう答えるか、その答えを飛影がどう受け取るか、ここが最初の正念場だ。すると、幽助はにやりと笑った。
「俺をやるなら直接やるさ、オメーは」
「……」
「俺が全霊気を放出すれば、短い間だったらオメーの分も支えられる。行ってくれ、飛影！」
じわじわと霊力を上げる幽助を、信じられないものでも見るような目で飛影が見つめる。幽助が笑ったまま、頷いた。
「任せたぜ！おりゃぁあああ！」
(幽助の霊力が上がった)
(飛影の方を見たら、その赤い瞳が揺れていて)
(気合と共に駆け出した彼の姿が)
(一瞬だけ、昔の私と重なった)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯霧(プロフ) - リーさん» コメントありがとうございます！お返事遅れて申し訳ございません！飛影はカッコイイですよね！私の文章で少しでも伝わったならよかったです！ (2022年6月30日 16時) (
レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
リー - 最後まで読ませていただきました‼本当に面白かったです！飛影君は本当にカッコイイです (2022年6月24日 19時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます！桑ちゃんは男ですwww (2019年3月5日 16時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 面白かったです！確かに桑原かっこいいですよね、男らしい感じがしますw (2019年2月24日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - エリンギの里さん» ありがとうございます！ほんと、コメントいただくと嬉しいです！今後も亀ですが、よろしければ見守ってやってください！ (2018年2月7日 0時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯霧
| 作成日時：2016年7月28日 23時
