【飛影】それは転がり始めた石のように。【幽遊白書】

story6 ページ8

「うーん…面倒い。ギブアップしていい？」
「言ってる場合ですか！？」


裏切りの門に潰されなう。涼は蔵馬に突っ込まれた。


「くっ、誰だ！今力抜いたのは！？」
「あ、わりぃ多分私」
「殺すぞ！？」
「涼さん、勘弁してくれよ！」


喚く飛影と桑原に、全力で賛同したくなる。一人でも気を抜けばぺちゃんこになると言うのに、何が面倒い、だ。


(教師の時は、もっと真面目な人だったけど…猫を被ってたって事か…)


ため息をつきたくなるが、そんな事をして力が抜けてぺちゃんこにされたら、死ぬに死ねない。ホホホ、と笑っている一つ目の使い魔が、妙に憎たらしくなった。


「つか、ホントマジ無理だっつのっ。血管切れるっ！」
「おいチビ！てめぇ裏切るなよ！？」
「よせ、桑原！」


ギリギリ耐えうる重圧をかけてくる天井。飛影を信用していない桑原がそう言うのも、これまた無理からぬ話だ。だが飛影の癇には触ったらしい。


「信用しないのなら、俺が裏切ってもいいんだぜ」
「やめろ飛影っ……！こんな時に…」


互いを信じたままでは、何れ力尽きる。だが一人でも裏切れば、他の四人が死ぬ。


「くそっ、どうすれば……」
「選択はあなた方の自由です……ホホホ」
「うっわムカつくマジムカつく死ね爆発しろ」
「クソッタレ…おい、わかってんな！裏切ったらただじゃおかねぇぞ！？」
「フンっ…しかしこうやっていても、力尽きて全滅するだけ」
「なんだとっ…！？」
「やめろ！言い争ってる場合じゃねぇだろ！」


懲りずに言い争い始める桑原と飛影に怒鳴り、幽助の視線は使い魔へと向かった。その視線を、涼が追いかける。


(そう、あのレバーさえ上げられれば)
(あのクソムカつく使い魔をボコボコにしてやれるのに)
(つかほんと、マジ無理！もう限界くるって！！)

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