story43 ページ45
「冴木センセー？どうしたんですか？」
生徒に声をかけられて、板書をしていた手が止まっていたことに初めて気付いた。振り返ると、不思議そうに首をかしげている生徒達がいる。
「…漢字、度忘れした」
「ちょ、しっかりしてくださいよ…」
「あー…思い出した。悪いな。授業続けるぞ」
誤魔化しながら、手を動かす。授業中にも関わらず集中出来ないのは、全部飛影のせいだ。
(あーくそっ……面倒い……)
チラつくのは、飛影の紅い瞳。怒っている筈なのに、何故か傷ついたように揺れる、紅。
「ってことだ。そんじゃ、この部分を…海藤。読んでくれ」
「はい」
プリントを手に立ち上がるメガネの青年が、音読を始めた。それに合わせて自分のプリントに視線を走らせながら、それでもチラつく紅を無理矢理意識の外へ追い出す。
『水は問われて答えた
私は火の番をしていた
火事で全てを失くさないよう
火の番をしていた
火は問われて答えた
私は鉄を鍛えていた
畑仕事にクワが必要なので
鉄を鍛えていた
鉄は問われて答えた
私は木を守っていた
ヤギに新芽を食べられぬよう
柵となって木を守っていた
木は問われて答えた
私は水を蓄えていた
大雨が降っても山が崩れないよう
水を蓄えていた
最後に木はこう問うた
「お前はなにもしていない役立たずじゃないのか？」』
「オッケ。座っていいぞ。さて、これはとある漫画にあった、オリジナルの詩だ。ミステリー系の漫画でな。私は結構好きだ」
(こうして自作のプリントで授業をやると)
(自分の意図を伝えやすいが)
(私は飛影に、なんと答えればいいのか)
(まだ答えが出せずにいた)
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灯霧(プロフ) - リーさん» コメントありがとうございます！お返事遅れて申し訳ございません！飛影はカッコイイですよね！私の文章で少しでも伝わったならよかったです！ (2022年6月30日 16時) (
レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
リー - 最後まで読ませていただきました‼本当に面白かったです！飛影君は本当にカッコイイです (2022年6月24日 19時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます！桑ちゃんは男ですwww (2019年3月5日 16時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 面白かったです！確かに桑原かっこいいですよね、男らしい感じがしますw (2019年2月24日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - エリンギの里さん» ありがとうございます！ほんと、コメントいただくと嬉しいです！今後も亀ですが、よろしければ見守ってやってください！ (2018年2月7日 0時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2016年7月28日 23時
