story15 ページ17
それは、まだ学生時代を謳歌していた頃の話だ。涼はいわゆる暴走族チームで静流の先輩にあたる。サバサバした性格の静流と涼は、ウマが合った。互いの家を行き来するようになるまで、そう時間はかからなかった。
『涼先輩、これが私の弟。和真だよ』
初めて出会った時から、桑原は生意気だった。何かにつけて涼に突っかかってきて、涼も辛抱しないタイプだったからすぐに殴る。取っ組み合いをして常に勝って、それでも負けを認めない馬鹿な少年を、涼は密かに気に入っていた。
涼が高校を卒業し、大学生になった頃、それは起こった。
『和真…！？おま、なんでここに！？』
『よう、冴木……。聞いたぜ？こいつ、てめぇの弟分だってなぁ…』
チームの二代目総長だった涼は、高校卒業を期にそこを抜けていた。円満に抜けたのだが、当時の抗争相手はそれを見逃してくれなかった。呼び出しを受けて向かった川原には、全身傷だらけで倒れる桑原の姿。
『てめぇを呼び出せってしつこくお願いしたんだけどよぉ…。絶対に嫌だって聞きゃしねぇ。もう少しで殺しちまうところだったぜ』
『貴様っ…よくもこんなガキを…！』
『おいおい誤解するなよ。初めに手を出したのはこのガキだぜ？』
ニヤニヤ笑う男達をぶちのめすのに、時間はかからなかった。頼んでいた援軍…つまり静流を先頭にした元仲間達が来てくれたから。病院で検査入院する事になった桑原の横に、涼は立つ。
『馬鹿野郎！なんで無駄な抵抗したんだ！さっさと私を呼び出せばいいものを…』
『できるかボケッ！男は女を守るモンだろうが！』
『なら尚更だ！死んだらどうするつもりだった？人は簡単に…死んじまうんだよっ』
『…アンタ…』
その時初めて、涼は桑原を抱きしめた。
『良かった…生きていて良かった…』
『……なに、泣いてんだよ…』
『黙れクソガキ！…約束しろ。誰かを守りてぇってなら、もう二度と、自分から死にに行くような真似をするな。生きていなければ、何も出来ねぇんだ』
『……譲れなかったら、どーすんだよ』
『それはそれだ。でも…今回みてぇに誰かに頼れるなら、それを躊躇うな。生きるんだよ。…約束、しろ』
『……………分かった。約束する』
『私も誓う。その時は私が、和真を助ける』
(思えば、あの件からだ)
(和真が私を涼さんと呼び、敬語を使う様になったのは)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯霧(プロフ) - リーさん» コメントありがとうございます！お返事遅れて申し訳ございません！飛影はカッコイイですよね！私の文章で少しでも伝わったならよかったです！ (2022年6月30日 16時) (
レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
リー - 最後まで読ませていただきました‼本当に面白かったです！飛影君は本当にカッコイイです (2022年6月24日 19時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます！桑ちゃんは男ですwww (2019年3月5日 16時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 面白かったです！確かに桑原かっこいいですよね、男らしい感じがしますw (2019年2月24日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - エリンギの里さん» ありがとうございます！ほんと、コメントいただくと嬉しいです！今後も亀ですが、よろしければ見守ってやってください！ (2018年2月7日 0時) (レス) id: 4638cf4153 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯霧
| 作成日時：2016年7月28日 23時
