高校教師～Omi～ 2 (ページ29)

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授業を受け持つようになって１週間。
来週で実習が終わる。

『A先生、すごく良かったよ』

『ほんとですか？良かったー。登坂先生にそう言ってもらえると安心します。』

『上出来！上出来！』

そう言って私の頭をポンポンするんだ。

『臣ちゃん、スキンシップ激しすぎ』

ひょっこり現れた敬ちゃんに注意されて、ぶっすーと不貞腐れた登坂先生を見て敬ちゃんと二人で笑った。

放課後、明日の小テストの準備をしてたら横から登坂先生が覗き込んできた。

『熱心だねー。先生の鏡じゃん？(笑)』

『そ、そんなことないです』

近いから！
いつも以上に近いから！

『あ、そうだ！授業の事だけど…』

『何か問題ありました？』

上出来っつってたじゃん

『うん。内容は申し分ないよ？でも、ちょっと詰め過ぎかな？まだ一年生だし、授業の終わり5分ぐらいを質問タイムにしてみたら？』

『質問タイム…ですか？』

『そうそう。たまに授業内容以外の事を聞いてくるやつもいるけどさ。そういうので仲良くなれたりするんだよ。教えるだけじゃなくて、お互い理解し合わないとね』

なるほど～
でも…

『先生の授業の時、質問タイムなんてなかったですよね？』

『うん。授業だけしてたらいいって訳じゃないって気付いたからね。あの頃、俺の授業に質問タイムがあったら…Aは俺に何か聞いてくれた？』

なんだ、なんだ？
今、サラッと呼び捨てしたよね？
それに…
そんなじっと見ないで
この距離で見つめられたら心臓が暴れだしちゃう。

ただ黙って見つめあってた時、準備室のドアが開いた。

『臣…………Aで遊んでんじゃねぇよ』

『遊んでないっすよ』

二人の交わった視線が怖い。

『た、敬ちゃん』

このままじゃダメな気がして敬ちゃんを外に引っ張り出した。

『A…今日は俺が送ってくから』

敬ちゃんはいつもの笑顔で私の頭にポンっと手を置いて職員室の方へ戻っていった。

あれから登坂先生とはなんとなく気まずくなって、二人で黙々とテストの準備をした

敬ちゃんが呼びに来てくれて、一緒に帰ったの。

敬ちゃんは普段通りふざけてて、それが逆にさっきのことで怒ってるんだろうなって思った。