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卒業式 その2
『A 卒業おめでとう』
『敬ちゃん、ほんとにほんとにありがとう。私 敬ちゃんと出会えて良かったよ。敬ちゃんが居てくれたから学校辞めないでいれたもの』
『A…』
敬ちゃんはキラキラした目を、涙でより一層キラキラにして、私をギューっと抱きしめた。
『敬ちゃん 大好き』
『うん。俺も好きだよ。時々は顔見せに来いよ?』
『うん…』
涙でグチャグチャの顔で二人で笑った。
敬ちゃんは他の生徒に呼ばれて写真を撮りに行っちゃったの。
そしたら、私の目の前に登坂先生が立ってた。
『高橋さん、卒業おめでとう』
『ありがとうございます』
今日は…
今日は朝から決めてたの。
登坂先生に 好き って伝えるって
『登坂先生……あの…』
『ん?』
きっと今日で見納めになる、このキレイすぎる笑顔を瞼の奥に焼き付ける。
スーっと息を吸い込んで
『登坂先生、ほんとは ほんとに好きでしたっ!』
登坂先生は一瞬驚いた顔をしてから、さっきと同じように微笑んだ。
『そっか。ありがと 嫌われてなくて良かったよ(笑)』
私の今世紀最大の告白は、本気にしてもらえず木っ端微塵に打ち砕かれた。
でも、いいの。
私の2年近い恋心と一緒に卒業するって決めてたから…
『春ちゃーん、帰ろー。敬ちゃーん、バイバーイ(笑)』
正門を出て、一度振り返った。
3年間楽しかったな。
ありがとう敬ちゃん。
さようなら登坂先生。
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作者名:花梨 | 作成日時:2017年10月18日 6時