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夏休み その2
お盆も終わって、また塾と学校通いが始まった。
電車を降りてぶらぶら歩く。
暑っ…
ジュース買って行こ。
途中にあるコンビニに立ち寄って、自分のジュースと敬ちゃん用にアイスコーヒーを持ってレジに並んだ。
お金を払おうとした時、後ろから
『あっ!これも一緒に!』
はぁ?
なんでだよ!
って振り返ったら、登坂先生がスポーツドリンクを持ってた。
やる気の無さそうなコンビニバイト君は、言われるがまま 一緒にレジ通しちゃうし
『ありがとうございましたー』
流されるままお会計が終わって、やる気のない声に送り出されてコンビニを出た。
当然の流れで 登坂先生と一緒に…
『あ、あの ジュース代…』
『あー、いいよいいよ。高橋さんいつも頑張ってるし、それに去年の覚えてる?結局アイス買ってないしさ(笑)』
『あ…でも…』
『ん?』
隣を歩く登坂先生がニコッと笑って顔を覗き込んできた。
ダメ!
反則!
近い!
カッコよすぎ!
『アイスコーヒーは敬ちゃんのだから…』
『えっ?(笑)』
立ち止まった登坂先生は、アイスコーヒーの分は敬ちゃんに請求するって また歩きだした。
『いつもこれぐらいの時間に来てるの?』
『はい。火曜日と木曜日だけ。空手部は午前だけだから…』
『そっか…』
それから特に会話もなく、嬉しいような気まずいような
複雑な思いで学校まで歩いた。
『じゃあ勉強頑張って!』
○○ドへ向かう登坂先生の背中に声をかけた。
『登坂先生!』
『ん?なに?』
振り返った登坂先生がカッコよすぎてちょっとつまっちゃった。
『先生も…部活頑張ってください』
『ん。ありがとね!じゃっ』
片手をあげてから○○ドに走って行った。
登坂先生と並んで歩いちゃった…
ふわふわした気持ちのまま 職員室に寄るのを忘れて教室に来ると敬ちゃんが待ってた。
『敬ちゃん!』
『…………うん。座って』
なんか機嫌悪くない?
『これ、敬ちゃんのアイスコーヒーね。登坂先生が買ってくれた!』
『一緒に来たの?』
『あぁうん。コンビニで会って…』
それから敬ちゃんはなんとなく機嫌悪そうで…
いつもより早めに帰る事にした。
夏休みが終わるまで、時々コンビニで登坂先生に会って、その日は敬ちゃんの機嫌が悪かったんだ。
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作者名:花梨 | 作成日時:2017年10月18日 6時