47.縁 ページ47
公園に着いたので、早速ストレッチをしてシュートを放つ。
放物線を描いてボールがゴールに吸い込まれていく、この光景が、感覚が堪らない。
15分程シューティングをしていると、ふらりと赤いジャージ。視線は下がっていて私には気付いていないようだ。
気に留めずにドリブルを突いた。その瞬間びっくりしたようでゲームから目を離し、彼が私の方に視線を向ける。
「『…』」
目があって沈黙が流れる。だって知り合いでもなんでもない。
気不味くなって、目を晒してシュートを構えた、その時。
「梟谷?」
プリン頭の彼の呟きが聞こえる。あぁ、午前練の後そのまま部Tだったっけ。
『はい、梟谷ですよ。』
「ふーん、赤葦と一緒なんだ。」
『え、もしかしてバレー部の?』
「うん、バレー部の赤葦。合宿で会う。」
『ってことは貴方もバレー部か。貴方は、音駒?』
「うん、バスケ部あるから知ってるかもね。」
『そうですね、認識はしてます。』
「赤葦と同い年なの?」
『いや、私が一つ上ですね。』
「そう、じゃあクロと同じか。」
抑揚のない声で、ゲームから視線は逸らさない。けれどなんだかんだ話しかけてくれる。不思議な人だと思った。
『クロ?』
「幼馴染み。2年。」
『へー、私と同い年か。』
彼もゲームを辞めないし、私もバスケを辞めない。
けれど会話は邪魔だと思わないし、寧ろ赤葦に似た何かを感じて、心地よく思う。
そこにパタパタと走ってくる音が混じった。
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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2022年9月10日 4時