【HQ】君が傷に染みて (改訂版) (ページ38)

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電車に乗り込む。この時間の電車は空いていてラッキーだ。

少しの距離を開けて二人で座ると、木葉は練習で疲れたのかウトウトし始めた。

そうだよなぁ、あれだけハードな練習して、周りに気配りしてたら疲れるのも仕方ないよな。

少しの間寝かせてあげよう。

そう思った私は先ほどの会話に想いを馳せる。

意地っ張りな女子ってそんな多くないし、木葉って話すけど心は開いてないタイプだからなぁ。多分、雀田さんのことだろう。でも、雀田さんは赤葦くんのことが好きだしなぁ。

んー、赤葦くんは？なんかバレー部といること多いし、他の部活の可能性の方が低そうだ。赤葦くんと話したっていう女子は聞いたことがない。

と、なると、雀田さんか雪絵ちゃんだろう。脈なしって感じてるなら雪絵ちゃんの可能性が高いな。

私の考察が正しければ、あの３人は誰も報われない、それぞれが一方通行の恋だ。

『あ、木葉！！！駅着いたよ！』

木「んー、ふわぁ、おはよ。」

『うん、おはよう、って早く降りるよ！』

なんとかギリギリで電車から降りる。木葉は本当に私を家まで送ってくれるらしい。

『木葉さー、こうやって歩く時も道路側歩いてくれたりするじゃん、ジェントルマンじゃん、ぶっちゃけモテるじゃん、それでもその子がいいの？』

木「そりゃーな。モテても好きなやつに好きになってもらえなきゃ意味ねぇよ。」

『そっかー』

木葉の好きな人はいいな。こんなにも一途でいてもらえて。なんで、木葉じゃダメなんだろう。

木「Aも前好きだった奴のこと、イケメンじゃなくても面白くなくても好きだったんだろ。

それで他の奴から告られても振ってただろ。それと同じだわ。」

『あー、なんかわかりやすいそれ』

木「で、さっきの話、第三者として見てたんだろ。どうだった？」

『それもバレてたのかー、そうだなぁ。報われないなって思ったよ皆んな。』

木「ふーん。でも、報われたくて好きになったわけじゃないからな。」

『…ちょっと木葉が男前に見えた。』

木「いや、俺いつでも男前だろ。」

そうやって会話していると、自宅前に着いた。

『あ、家ここなの。わざわざありがとうね。』

木「いーよいーよ。また明日な。」

雀田さんも木葉にしてたら良かったのに。

それか赤葦くんが雪絵ちゃんじゃなくて雀田さんのこと好きだったらどこかは報われていたのに。

そしたら振られても次に進めるのに。

みんなが皆んな辛いだけだ。