【HQ】君が傷に染みて (改訂版) (ページ32)

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シューティングする前に、軽くストレッチをしていた時だった。

『ぎゃっ！』

赤「お疲れ様です。」

なんだよ、赤葦くんか。

いきなり冷たいドリンクを首に当てられて、女子とは思えないような低い声が出た。

『ありがとう。そっちもお疲れ様。』

白「私特製のドリンクだからねー。冷たいでしょ？」

呑気に言わないでください雪絵ちゃん。

『男バレも練習終わり？』

白「うん。でも、今から木兎が自主練するからねー。

一旦補食取りに行くのを赤葦に手伝ってもらってる。」

本当、ストイックだなぁ。

私たちより始まる時間が早ければ、終わる時間は長い。

男女の差を引いても相当な練習量だと思う。

『私も自主練！一旦顔洗うつもり！だから途中まで一緒行こう。』

そう二人に告げて、三人で体育館の扉に手をつける。

すると女バスの同級生の声が聞こえてきた。

「ボロ負けだったよねー。なんかさぁ、またやる気なくなるレベル。」

「それね！弱小も弱小。」

「Aもさー、頑張ってるんだよ？

真面目すぎってくらいさ。でも上手くならないよねー。」

「よっぽど後輩の方がいい動きするもんね。」

「実力って頑張りで評価できないしねー。」

「友達としては好きだけど、チームメイトとしては後もう何歩か上達してほしいね。」

「わかるわー。」

そう言って声は遠ざかっていった。

身体が冷えていくのがわかった。冷や汗が背中を伝う感触。

でも、ここには二人もいるから明るくいなきゃ。

『ごめんね。気まずい思いさせちゃったね。』

白「なんでー？Aなんも悪くないじゃん。」

雪絵ちゃんは心配そうな、それでいて不思議そうな顔をする。

赤葦くんも雪絵ちゃんの言葉に頷いてくれた。

『んー、まぁ間接的には私のせいじゃん？

もっと実力伴ってれば良かったんだろうけどさ。」

嫌われてるわけじゃないし悪口でもない。

チームメイトの言ってることは正論なんだ。