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帰宅して入浴後、スマホが振動する。
木兎?なんで?
『はい、もしも』
兎「なぁなぁ!A!
赤葦と抜け出すとかお前ら付き合ってんのか?!」
スピーカーにしてるわけでもないのに、耳に当てたスマホを思わず離す声量だ。
白「木兎落ち着いてー。ごめんねA。
木兎がさぁ、俺の赤葦が〜なんて言うから。
気にしないでね。」
木兎と赤葦が付き合ってたんかい、とツッコみたくなる。
『いや、付き合ってないよ。
私がちょっと体調悪いのに気づいてくれただけ。』
白「そっか、お大事にねー?」
今更だけど木兎から電話来てるのに、雪絵ちゃんが出るってことは、家まで雪絵ちゃんを送ってるのかな。
だとしたらいいぞー!木兎!
『雪絵ちゃん、楽しかった?』
白「もちろーん!」
あー、良かった。私までにやける。
そして次の瞬間、スマホから、
"赤葦の彼女じゃないってよ、良かったな!!"
そんな木兎の声が聞こえた。
白「あー、ごめんね。気にしないでねー。」
『ううん、大丈夫だよ。』
そうだよね、雀田さん心配になったよね。
赤葦くんと付き合ってるって思われたら、雀田さんからも嫌われるし、危ないところだったのかも。
赤葦くんにも迷惑がかかるから誤解が解けて良かった。
けど、赤葦くんの好きな人が雀田さんの事かもしれないってことなんか教えたくなくて。
この赤葦くんの優しさが自分だけに向いてたらいいのに、なんて思う自分がいて。
雀田さんのこと、それとなく応援するつもりだったのに。
赤葦くんにまた頼りたくなる自分だったり、赤葦くんと雀田さんが付き合って、私に素っ気なくなる赤葦くんを想像したら、やっぱり素直に応援できなくて。
そんな性格悪い自分が嫌になる。
赤葦くんの彼女でも、赤葦くんのこと好きでもないのに。
白「どうしたー?A?」
『あ、何でもない!ちょっと眠くなっただけ!』
白「そっか、部活だったもんねー。
いつも木兎と居させてくれてありがとうね。
だけど私に気を使いすぎないでねー?
私はAの気を許せる相手でありたいからさー。」
"じゃ、おやすみー。"
そう言って切れた電話。
雪絵ちゃんの言葉にまた心が温まる。
雪絵ちゃんには、こうやって誰からも嫌われたくないって思う汚い自分のことも見透かされてるような気がするよ。
夏休み、また雪絵ちゃんと遊べたらいいな。
男バレ忙しいから大変だろうけど。
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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2022年9月10日 4時