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赤「実は俺、先輩があの人のこと好きなの知ってました。」
そう言って、赤葦は罰が悪そうな顔をした。
赤「先輩がよく目で追ってるのを見てたんです。
でも、先日、木葉さんと話してる場面に、偶々保健室に行った帰りに遭遇してしまって、聞いてしまいました。
すみません。」
赤葦くんが頭を下げた。
『はは、』
渇いた笑いしか出ない。
バレてたなんて。
後輩に気を使わせるなんて、なんて惨めだ。
赤「盗み聞きになったのは謝ります。
でも先輩、最初から一人になるつもりだったんですよね。
それで一人で遭遇したらって考えたら、つい。
勝手なことしました。」
『ん、いいよ、ありがとう。
その気持ちが嬉しいよ。
はー、赤葦くんにまでバレるなんてなぁ。』
赤「俺、あまり表情が変わらないらしいです。」
急に何を言い出したんだ。
まぁ呆れるかしかめっ面だよね、赤葦くんのイメージは。
赤「だから、木兎さんのバレーが好きな表情も。
俺が、入部当初、得点板つけてて反対のコートで、バスケしながら一喜一憂する先輩の表情も。
俺には眩しかったんです。」
『照れちゃうな、それ。
私からしたら赤葦くんたちの方が眩しいけどね。』
なんかシリアス感じたから、おちゃらけてしまう私。
なのに赤葦くんは無視してグイグイ来る。
赤「誰よりも悔しそうで、誰よりもバスケを楽しんでた先輩を、木兎さんに少し重ねて見てました。
そしたら、いつの間にか練習終了間際に、体育館の扉見て憂いたり赤面する先輩に気付いて。
柄にもなく結ばれたらいいなって思ってた。
それがある時、部活中も男バス見る視線も、苦しそうな表情に変わって。
もう、辞めませんか、自分を蔑むの。
それより二人に大きな魚逃したなって思わせましょう。
あの二人なんかに認めてもらわないでいいです。
木兎さんだって、木葉さんだって、白福さんも、俺も、知ってるんですよ。
貴方が一番バスケットボールと向き合っていて、悔しくても歯を食いしばって努力を重ねてること。
貴方が一番あの人を好きで、部活にも真剣でいたって俺が保証します。
って、すみません。
お前に何がわかるんだって話ですよね。恋人じゃあるまいし。
でも勿体無いと思います。先輩の頑張りを無かったことにするのは。
だから俺だけでも認めさせてください。」
そう言って赤葦くんは再び頭を下げた。
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作者名：...syokatsu... | 作成日時：2022年9月10日 4時
