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もう､音なんか聞こえないくらいに
夢中になって走った｡
ITOKANまでそう遠くはないのに､
一刻も早くあの場から離れたくて｡
コ｢…A!!｣
少し前に広斗に名前を呼ばれたせいか
自分の名前にひどく敏感に
反応してしまう｡
すれ違うバイクは
間違いなくコブラのものだった｡
名前を呼ばれて､すれ違うこの光景｡
さっき見たはずなのに
名前を呼ぶ人物が違うだけで
私のバイクのスピードは遅くなった｡
やがてコブラのバイクが追いついた頃に
ピタッと止まる｡
コ｢遅いから探しにきた｡
…広斗にでも会ったか？｣
反射的に下げていた顔をバッとあげると
何かを悟った様子のコブラの顔｡
私は､そんなに酷い顔をしていたらしい｡
｢…もう､帰ろう｡｣
コブラの顔を見ただけで
涙があふれそうになった｡
誰かに話を
聞いてもらいたかったのかもしれない｡
いつの間にか､私は弱くなっていた｡
コブラに甘えて｡
ヤマトに甘えて｡
ダンに甘えて､テッツに甘えて｡
―ナオミに甘えて｡
警戒心で塗り固められた私の心は
いつの間にか鎧を脱いでいたのだった｡
バイクで併走する｡
コブラの表情は伺えない｡
どうしよう､こんな顔見せて
皆になんて言えばいいかな｡
…もう､潮時なのかもしれない｡
｢ねぇ､コブラ｣
コ｢…｡｣
｢帰ったらみんなの前で
全部全部話すね｡｣
聞こえているかはわからない｡
もしかしたらバイクがうるさくて
届いていないかもしれない｡
それでも良かった｡
この沈黙が苦しかった｡
ﾊﾟｧｰﾝ!!!!
ITOKANに帰るなり私とコブラに降り注ぐ
キラキラのテープ､紙吹雪｡
おかえりー!と
迎えるはずだったのであろう彼らは
言葉の最後になるにつれ
音量をすぼめていった｡
私とコブラの色のない瞳に､
彼らの太陽も今だけは
姿を隠してしまった｡
｢…今日､なんかあったっけか｡｣
ダ｢…自分の誕生日すら
忘れてしもたんか｡｣
｢…あぁ｡｣
もう､わからなくなってしまっていた｡
どんな表情をすればいいのかも｡
なんて言えばいいのかも｡
｢祝ってくれて､ありがとう｡
…お礼じゃないけど､広斗とのこと
話そうと思ってたの｡｣
一瞬で静寂に包まれる｡
気まずい､空気読めてなかった
そんな空気が彼らからにじみ出る｡
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オレンジ★ジュース - はじめまして!!!!!!私も最初から全部読みました!更新楽しみです頑張ってください(*^_^*) (2017年3月20日 1時) (
レス) id: 2ecf1ffa5e (このIDを非表示/違反報告)
玄ちゃん - はじめまして(*^^*) 最初から全部読みました！ ここまで書いたのにここで終わりにするのはもったいないと思います！！ 更新が再開されることを楽しみに待ってますo(*⌒―⌒*)o (2017年1月22日 14時) (レス) id: f00d27de65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイにゃん | 作成日時：2016年9月15日 6時
