HiGH&LOW ヴィスコンティ -five- (ページ9)

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｢向こうって何？｣

ナ｢…お前には縁がない方が
いいところ｡｣

｢…ふーん｡｣

縁がない方がいいなんて､
面倒くさいところかもしれない｡
だから本当は興味があるけど…
これ以上関わっても良いことないなら
深くは触れない方がいいだろう｡
そっぽをむいて､酔ったせいで
突っ伏して寝てしまったダンに
かける毛布を持ってきた｡

そっと肩に掛ける｡
…黙ってれば格好いいんだけどなぁ｡

コ｢…なぁ｡｣

不意にコブラが口を開いた｡

コ｢お前は俺たちと
関わってていいのか？
…兄貴たちにどやされたりしねーのかよ｡｣

｢…まぁ､関わってることに関しては
渋々了承してくれてるくらいかな｡｣

そこまで言って私は口をつぐむ｡
思い出すとつらくなってしまうから｡

コ｢…だったら､このままここに…｣

｢ごめん｡
もうこれ以上は言いたくない｡｣

コ｢…………すまねぇ｡｣

あぁ､何してんだろ私｡
悪いのはコブラじゃないのに｡
いやな思い出で強くなってしまった口調が
今となっては悔やまれる｡

｢謝るのはこっち…ごめん｡｣

それだけの会話で一気に重くなった空気｡
誰一人として喋らない状況が
心の傷をキツく締め上げていく｡
…もう､帰らなきゃだめだ｡

｢ごめん､私もう―｣

ナ｢帰った帰った｡
お前ら酔ってんだよ｡
酒臭い奴はさっさと帰って寝な｡｣

私の言葉を遮ったナオミ｡
私は呆然としたまま
ナオミの横顔を見つめていた｡
―なに､言ってるの？
私､ここにいていいの…？
心にはこびる鉄線がふわっ､と緩んだ｡

ヤ｢は？｣

ナオミがヤマトに近づいて
何かを耳打ちしている｡
はっ､と気づいたような顔をしたヤマトは
繕ったような笑顔で
コブラの肩を組んだ｡
訝しげなコブラは若干不気味そうに
ヤマトを見つめる｡
するとまたもやヤマトから
コブラに伝わった耳打ちで
二人はダンを連れて
店から出て行ってしまった｡

テ｢え？ちょ､ちょっと待ってくださいよ!!｣

取り残されたテッツも慌てて
店を出ていってしまう｡

そして取り残された私とナオミ｡
ふと横を見るとナオミは
柔らかな笑顔を笑顔を浮かべていて
なんだか不気味だった｡

ナ｢まぁ…なんだ｡
気にすんなよ､いろいろと｡
辛かったら頼って良いからな｡｣

…何もかも､見透かされていたみたい｡

また軽くなった心が
自然と顔をゆるませて｡
いつの間にか､微笑んでいた｡

ナ｢思ったんだけど
Aって笑顔かわいいよな｡
密かに…じゃなくてもモテるだろ？｣

｢…はぁ？
何訳わかんないこと言ってんの｡｣

ナ｢ツンデレ｡｣

｢ばーか｡｣