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YAMATO'S SIDE
あれから約2日間。
倒れてから換算すると4日目で
Aは目を覚ました。
それは月に霞がかかり
雨の降りそうな朧月夜だった。
雨「………。」
今まで閉じていたまつげの長い目が
すうっ、とゆっくり開く。
それはまるで月の女神がAに
降りてきたみたいで。
俺はしばらく見入ってしまった。
雨「……ヤマト?」
「おう、A。
…目ぇ覚めたか?」
こちらを見つめて俺の名を呼ぶ。
虚ろにだった目が急に
見開かれたかと思えば、
4日間も使わずにいたせいで
なまってしまった足で歩き出した。
でもそれはどちらかというと
走り出した に近い感覚で、
走りたくても足がうまく動かないのだろう。
「おい、A…!
転んだら危ねぇからまだ寝てろって。
―っと!!!」
足がもつれたのだろうか。
俺に倒れ込むようにして姿勢を崩した。
「…だから言っただろうが。
無理すんなって―」
雨「ヤマト。」
俺の言葉を遮る。
そのまま心を射止められたように
動けなくなってしまった。
初めて聞くようなAの弱々しい声。
今話しかければ、何かが
決壊してしまいそうなほど
弱く、脆い呼びかけだった。
雨「…ヤマトだよね、ここにいるよね。」
Aの頭が預けられている肩に
湿った感触。
―泣いてんのか。
「A…、なんで、泣いて―」
雨「うるさい、口開くな。
声も出すな。」
なんで泣いてるかなんて
俺にはわかんねぇ。
だけど、ただひたすらに
苦しくなって。
コイツが少しでも楽になるように。
右手で左肩に置かれた頭を
軽く押しつけるみたいに
ぐしゃぐしゃと撫でた。
雨「…っ…っふ、っく………」
泣くのを、我慢してるようだった。
一度は広斗の元へ
送り届けることも考えたけれど、
そもそも家も知らないし。
Aが泣く理由が広斗だったのならば
余計関係を悪くしてしまうだろう。
それからAは3ヵ月間、
山王で時を過ごすことになる。
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ぬ - 工さんのファンなのでそんな言い方されるのは気分良くないです (2018年9月14日 12時) (レス) id: d2a87cea11 (このIDを非表示/違反報告)
岩坂@今坂あゆ@登坂の娘(プロフ) - 雨宮 零さん» りょーかいでーす♪ (2016年8月8日 7時) (レス) id: 2e5c6ff1dd (このIDを非表示/違反報告)
みすず(プロフ) - 雨宮 零さん» まってます! (2016年8月7日 23時) (レス) id: 9e31d95d7c (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 零(プロフ) - みすずさん» 了解いたしました!ではメッセージを送らせていただきますね! (2016年8月7日 23時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 零(プロフ) - 岩坂@今坂あゆ@登坂の娘さん» 了解いたしました!ではメッセージを送らせていただきますね! (2016年8月7日 23時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイにゃん | 作成日時:2016年7月29日 6時