HiGH&LOW ヴィスコンティ -five- (ページ13)

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龍が怖がらないように､ナオミと一緒に
カウンターの奥に隠れていてもらう｡
ナオミなら､きっと大丈夫｡
震えている龍を落ち着かせることが
できるだろう｡

二人の姿が完全に消えたところで
私は目の前の男に視線を戻した｡

｢さて｡
あんな小さい子に暴力なんて
見せるわけにはいかねぇからなぁ？｣

?｢…お前､ずいぶんと自信満々だなぁ？
山王街じゃ見たことねぇ顔だが…
新入りか？でしゃばんな｡｣

｢…テメェが知らねぇだけだよ｡
さぁ､かかってこい｡｣

手をほぐすためにぶらぶらと
一度力を抜く｡
ふー､と息を吐くと同時に私は
眼孔を強くした｡
雅貴とか､広斗とかを思わせるような―
狩りをする獣の目｡

?｢オラァ!!｣

あまりにも弱々しいので思わず
小手調べをしてんのかと
思ってしまうようなパンチが飛んできた｡
それともなんだ､ひるんでんのか？
しかし､私の予想は
大きく外れることになる｡

?｢テメェ､何やってる｡｣

低く響いたのはコブラの声だった｡

｢…っコブラ!?｣

?｢テメェ､ムゲンの…!!!!｣

九龍の人間は憎々しげな目で
コブラをにらみつけている｡
しかしコブラはその視線を
一切気にすることなく
ぐっ…と力を強める｡
さっき不自然に九龍の奴の拳が
弱まったのは､コブラが
腕を掴んでいたからだったのだ｡

?｢ぐっ…｣

コ｢もうじきココをたまり場にしてる
俺の仲間が帰ってくる｡
どいつもお前一人じゃかなわねぇ
強ぇ奴ばっかだ｡
悪ぃことは言わねぇから―
帰れ｡｣

そのコブラの鋭い一言で
九龍の奴はひるんでしまう｡
しかし､再びパッと
覚悟を決めたかのように
顔を上げると私の腹を蹴りつけてきた｡

(無駄なことを…)

コ｢―コイツなら勝てると思ったか？
残念だったな｡
女は女でも…｣

コ&雨｢｢雨宮なんだよ｣｣

すくい上げた足を掴んだまま
私の懇親の蹴りを顔面に一発
いれてやった｡
クリーンヒットしたそれは､
なすすべなく足を捕まれている
九龍の刺客を気絶させた｡

ナ｢…龍､もう大丈夫だよ｡｣

こちら側の様子が
分からないはずのナオミが
安心したように…
何かを悟るように呟いた｡

龍｢ほんと？｣

幼い龍の姿がカウンターから出てきた｡
後からナオミも優しい笑顔をして
奥から出てくる｡
九龍の奴はコブラに抱えられて
バイクへ乗せられていった｡
たぶんしばらくして九龍の管轄内で
気絶して見つかるだろう｡

龍｢おねーさんが､助けてくれたの？｣

ナ｢そうだよ｡｣

龍｢どうやって…？｣

｢お話して､帰ってもらったの｡
ごめんなさいってね｡｣

龍｢ありがとう､おねーさん…!!｣

ぎゅっ､と抱きつく小さな体｡
私の腰あたりまでしかない背丈の頭を
優しく撫でた｡

…私､誰かを助けられたのかな｡