HiGH&LOW ヴィスコンティ -five-

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今日は久しぶりに山王街の中を
バイクで走っていた｡
頬を吹き抜ける風がとても心地いい｡
ついてきたのは珍しいメンバーで
ダンとテッツだった｡
二人とも山王街では
バイク好きで有名らしい｡
私のバイクを見たときも思わず見とれて
触ろうとしてたから
とりあえず軽くグーパンしといた｡

ダ｢やっぱ最高やなー!!｣

テ｢ですね!!｣

何でついてくるのか理由を問うたら
｢お前のバイクが
走っとるとこ見たいんや｣だって｡
…まぁ良いものだってのは
自分でもわかってる｡
黒光するボディがクールな
雅貴と広斗と同じハーレー｡
思い切って買ってしまったけど､
初日から使い方は悲惨だった｡
―まさか彼氏から逃げるのに
使うなんてね｡

ダ｢せやけどやっぱAのハーレー
かっこええなぁ｡｣

｢…そう？｣

テ｢そうっすよAさん｡
このハーレー高かったでしょ｡｣

｢うん､苦労した｡
…だけど今となっては汚れた
思いでしかないから…｡｣

私が顔を下げてしまうと､
二人は目線を会わせて
仕方がないと言った様子で
ため息をついた｡

ダ｢いつまでもウジウジしてんなや｡
しゃーない女やなぁ｡｣

テ｢Aさんは
泣き顔似合いませんって｡｣

かけられた言葉は荒いけど､
それでも｡
優しさが―身にしみる｡
テッツに言われたとおり
涙をぐっ､とこらえて前を向いた｡
そうだよ､いつまでも"女"でいるな｡
最強の喧嘩屋なんだろ？
―雨宮なんだろ？

ダ｢ん､それこそAやんけ｡｣

ちょっと強い力で
ダンが背中を叩いてきた｡
少し痛かったからわざとせき込んでやる｡

ダ｢あっすまん｣

｢ばっか､冗談だよ｡｣

テ｢Aさんやりますね｡｣

｢テッツ､私年上なんだけど｡
誉められるの､なんかやだ｡｣





ダ&テ｢｢………………｡｣｣




テ｢こ､これは…｣

ダ｢なんでお前は前向く=ドＳやねん…｡
ひん曲がりすぎやろ｡｣

｢うるせー｡
泣き顔見ただろ､目ぇ潰してやろうか｡｣

ダ｢やっぱ凶暴さは雨宮やな…｡｣

ひん曲がってるのは
私の素直になれない性格｡
冗談が通じるのは君たちだから｡
―私を､前向きにしてくれて｡

｢ありがとう｡｣

ダ｢…なんやて？｣

テ｢ダンさん｡俺聞こえました｡｣

｢テッツ､間違っても言うんじゃねーぞ｡
言ったらガムテープでその口塞いだ後
針と糸で念入りに縫ってやるからな｡｣

ダ｢怖すぎやろ!!｣

こんな言葉､私らしくもない｡
…私をこんな風に変えたのは
お前らだからな｡

9→←レイにゃんより｡

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