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ITOKANでの勤務を終え、自宅に帰る。
雅貴はいたりいなかったりするが、
今日はいない日らしかった。
「ただいまー」
その証拠に外から見た自宅に光は点って
いなかったし、返事も返ってこない。
パチ、とスイッチを入れて
荷物を乱雑に置く。
中から携帯とリップが零れ落ちた。
…このリップは、広斗が唯一
気に入ってくれた物だった。
初めてつけていった日の広斗は、
どこか落ち着かなくて
暇さえあれば私の唇を見ていた。
だからすぐわかった。
口下手な広斗だからこそ、
このリップが気に入った
サインじゃないかと。
やっぱり深夜勤務は何もしないからこそ
逆に疲れてしまう。
立ちっぱなしでふくらはぎも
毎日むくんでしまう。
寝るときは必ずむくみを取るタイツを
履いて寝るのが日課になっていた。
椅子に座って、ふぅとため息をつく。
―その時。
後ろから押さえられて、布のようなもので
口をふさがれた。
「んんーっ!!!ん、うぅ!!!!」
抵抗しようともがいたけれど、
息を吸えば吸うほど肺に酸素が
足りなくなってしまう。
結果、私は意識を手放した。
?「おい。おい!!」
怒号で目を覚ます。
私は椅子に縛り付けられているようだった。
身体が前に傾いていたせいか
締め付けられていた手首が酷く痛む。
口にはガムテープ。
いつぞやの悪魔と呼ばれた記憶が蘇る。
?「お前、雨宮兄弟の妹だよな?
拾われたとか言う。
…思ったよりいい女じゃねぇか。」
私をまじまじと見る男。
スキンヘッドで眉毛は剃られていた。
?「お前にはうちで働いてもらう。
こんな上玉、雨宮には勿体ねぇからな。」
「………………。」
まだはっきりとしない意識で
無言で睨みつけた。
だけど男はひるむ様子はない。
何故、私を狙うのだろうか。
雅貴や広斗目当てではなさそうだし
私を凶暴な雨宮だとわかってて雇うことに
何の意味がある?
抵抗されて、逃げられて終わりのはずだ。
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雨宮 零(プロフ) - チャンスさん» ありがとうございます!楽しみにしていただけて、とても光栄です。 (2016年6月25日 0時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
チャンス - めちゃめちゃ気になります! 更新待っています!!!! 楽しみ〜!! (2016年6月24日 21時) (レス) id: 3a1af415ef (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 零(プロフ) - 李音さん» ありがとうございます!!私自身特に力を入れて書いている作品ですので、そう言っていただけるととても嬉しいです」 (2016年6月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
李音 - とても続きが楽しみです^_^ (2016年6月21日 11時) (レス) id: ab1cbbe938 (このIDを非表示/違反報告)
REI*CAT√3JSB_Omi(プロフ) - yuukaさん» ありがとうございます!!律儀なコメント、大変ありがたいです。期待に応えられるよう、精一杯頑張ります!! (2016年5月3日 23時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイにゃん | 作成日時:2016年4月27日 1時