今宵、パーティーで踊りましょう【wrwrd】 (ページ5)

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5曲目ページ5

どういう状況なんだ、どうすればいいんだ

YESと答えたら何を言われる？
絶望しかない様な、そんな気がする

それでも何も進まない事に変わりない

『教えて、ください』

｢ええよ。心配しないでもお姉さんは元の世界に戻れるで
だから大丈夫。それにここのヤツらは誰も危ない事はせんから、安心してや
ちょっとしたテーマパークやと思って｣

｢嘘かも知れんけどな｣

｢お前さぁ、なんでそんな性格悪いん？ほんま心無いわー｣

小声で告げられた事は私を安心させるには十分だった
でも、後ろから聞こえた声で信憑性は格段に落ちる

ただ私を安心させて弄びたいだけかもしれない

そんな考えに至るんだから、私はもう既にこの不思議な場所に侵されている

｢ついたよ～｣

緩やかな声に目の前の大きな扉を見上げる
続いた長い廊下の突き当たりにはお城の入口の様な威厳のある扉があった

人の力じゃあかない

思わず1歩、2歩と歩み寄って扉に触れてみる

木製の扉はビクともせずただ指先に硬い感覚を植え付けた
冷たくはない
どこか、温かいぬくもりのような

｢アンタの力で開くわけないやろ、俺らでも開かんねんから｣

呆れたようなコネシマの声がした

道中不思議な光景を沢山見た
透ける体の浮遊した人物が壁をすり抜けていったり
窓の外を見てみればさっきも見たように紫の空に大きな月が浮かんでいた

全体的に暗いこの世界の明かりはジャック・オ・ランタンが主流らしい

このお城は高台にあるようで街の様子も見える
葉の生えた木はなく、レンガ造りの道路
その道路には骨の馬が引く馬車が通っていたりもした

こんな所で想像するのは頭蓋骨だけどそんな不気味なものはひとつも見つけられなくて少し安心もする

私はこの世界を少しだけ楽しみ出したのかもしれない

帰れないかもしれない、非現実的な世界線で、このアウェイな空間を、楽しんでいるのかもしれない

その感覚は何も知らなかった頃の、新しい事を知る感覚に似ていた

｢Aちゃん、扉開けって願えばええよ｣

しんぺいさんから言われたように、扉が開くように願ってみればぎ、と不協和音を奏でながらゆっくり扉が開いていく