長い悪夢の救世主【wrwrd】 (ページ33)

今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:73,490 hit

33夜目ページ33

雨が、降ってる

バケツをひっくり返したように激しい雨が

稲光が変に部屋を照らす

雷が鳴る

地を揺らすような大きな音が響いた

｢お姉ちゃん...怖いよ...｣

私にしがみつくナノが震えながら言った
ベットと壁の間に埋まるように2人で小さくなる

『大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげるから』

ひとつ下の妹にそう声を掛ければ震えながら目をつぶる

怖い
でも私がしっかりしなきゃ。お姉ちゃんなんだから

大丈夫、お母さんとお父さんがきっと助けてくれる

下から聞こえてくるバタバタとした音はさっきよりも激しくなってて
心臓がばくばく鳴り止まない

『ねぇナノ』

｢...なぁに?｣

『お姉ちゃんね、来月8歳になるの
そしたらね、学校に行けるようになるから。学校の制服、おうちで着てみる？』

｢...!!着る、きたい!｣

楽しそうに笑ったナノ
怖い時は楽しい事を考えなきゃいけない

大きな雷の落ちる音で私達は体を小さく縮める
大丈夫、大丈夫

｢お姉ちゃん、さっきの人達誰...?｣

『...わかんない』

いきなり家の扉を壊して中に入ってきた男の人達
手には包丁とかバットとか持ってて、お母さんが私とナノを二階の部屋に隠した
扉には鍵をかけて簡単に入ってこれないように家具を動かして道を塞いだ

お母さんとお父さんが、きっと助けてくれるから

下から聞こえてくるバタバタとした音が消える
ベットのかげから顔を出す

それと同時に斧で扉が破壊されるのが見えた

『ﾋｯ..』

｢きゃあｯ...!!｣

自分とナノの口を塞ぐ
出来るだけ壁によって小さくなった

私は覆いかぶさってナノを隠す
守らなきゃ、お姉ちゃんなんだから

家具が倒れる音が聞こえて
足音が床を鳴らして少しずつ近づいてくる
体の震えが止まらない
大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫

｢みっけ｣

足音が止むと低い声が後ろから聞こえてくる
私はいとも簡単に持ち上げられた

『やめてっ!!』

｢お姉ちゃん!!｣

目に映ったのは3人のおっきな人
みんな服が黒くて怖い

｢コイツはどうする？｣

｢いらないだろ｣

｢殺すか｣

腕から逃れようともがいた
それでも腕の力が強くなるばっかりで全然抜けれない

『やめて!ナノには何もしないで!!』

｢って言ってるけどどうする?｣

｢いいだろ。生かしておいてもどうしようもない｣

｢それもそうだな｣

ナノが隅っこで震えてるのが見える
涙を流しながら何か言ってる
分からない

どんっと低く大きい音だけが鮮明に聞こえて
赤が暗い部屋にやけに映えた