長い悪夢の救世主【wrwrd】 (ページ31)

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31夜目ページ31

庭にある大きな木下に座る
今日は天気も良くて気持ちのいい風も吹いている
鳥の鳴く声とか遠くで聞こえる街の人達の声とかに耳をすませる

ただ、何もしないでゆっくりとした時間を過ごす

｢A、何やっとるん？｣

『シッマ』

目を閉じて音を聞いていればシッマの声が耳に届いた
身長の高いシッマが歩いてきて私の横に座る

『遠くで街の人達の声が聞こえるでしょう？
楽しそうだなって、嬉しいなって思って』

そう言えばシッマは不思議そうにする

kn｢よう聞こえるな、街の人の声とか...
俺全く聞こえへんわ｣

眉をひそめて目を閉じる
一生懸命声を聞こうとしてるのかな

私の耳には笑う楽しそうな声が聞こえてくる

それを言うとシッマの顔はもっと歪んで首もかしげ始める

それが面白くって笑えてくる

kn｢Aは耳ええんやな。どうやっても俺は聞こえそうにないわ
街の人達どんな感じなん？｣

『みんな楽しそうだよ
この国の人達の声はいつも楽しそう。みんなが頑張ってるからだよね』

私の言葉でシッマは嬉しそうに笑う

kn｢なぁA！この木に登ったら街見えるんやで！登るか？｣

『え、でも私そんな事できないよ』

kn｢俺が上まで連れてったるわ｣

明るい笑顔に私も行きたい気持ちが溢れて頼むことにした
しっかりシッマを掴む
シッマも私の背中をぎゅっとおさえつけた

kn｢いくで｣

声と同時にふわっとした浮遊感が体を襲って見えてる景色が上から下に流れていく
その流れが止まったら｢もう離してええで｣と声がかかる

足をつけて前を振り返ると柔らかい色の街が広がっていた

『...すごい』

kn｢眺めええやろ｣

『うん、綺麗。綺麗だね』

kn｢そうやな、俺達はこの街を守ってるんや｣

シッマの表情はとってもかっこよかった