長い悪夢の救世主【wrwrd】 (ページ22)

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22夜目ページ22

『う、鬱くん！！白馬！白馬がいる！』

少し歩いて木で作った小屋の中には真っ白な馬が居た
昔に読んでもらった本で王子様が乗ってたはず
お姫様を助けに来た王子様はとってもかっこよくて

ut｢白馬好きなん？｣

優しい笑顔で私の横に並んで白馬を撫でる鬱くん
私も恐る恐る手を伸ばしてみれば馬の方から頭を擦り付けてくれた

『あったかい...』

ht｢こいつらも生きてるからね
外道丸って言うんだよ｣

『外道丸...げどちゃん、らんらんと一緒だね！』

ut｢そこから付けられたからな｣

動物はこんなにあったかいんだ
はじめて知った

いつも眺めてるだけだったから触れたのは初めて

ut｢Aちゃんは動物飼ってたりせんかったん？｣

『うん、お家があんまりお金なかったから』

そっかと頭を撫でられる
こっちもあったかくてなんだか嬉しくなった

『ねぇらんらん、他に動物居ないの？』

ht｢ん？いっぱい居るよ。見に行こっか｣

その後絵本でしか見た事の無かった動物と遊んだ
どの動物もあったかくて可愛くて心がぽかぽかになった

ut｢じゃあげどちゃん、また｣

ht｢うん、また来てね｣

『ありがとね！』

笑顔で見送られてまたお散歩に戻る
さっきまでの話をしていたら急に目の前にゾムさんが現れた

『ぞ、っむ...！？』

zm｢ちっす。何やっとるん｣

ut｢ちょっと案内がてら散歩しとるんよ｣

2人は何事も無かったかのように話し始める
これが普通なのか...な

2人を見てたらななんだか楽しくなってきて眺めてみる
信頼してるって感じがして嬉しい気持ちになった

zm｢なあ｣

急に話しかけられてふわふわとしていた意識が戻ってくる

zm｢ずっと気になっとったんやけどさ、髪の毛。切りそろえようや｣

何年も手入れのされていない長い髪をスルッとすくわれる
有無を言わせない雰囲気に口から肯定の言葉が飛び出していた

ut｢切りそろえるってったってどうするん？
今から城下にでも行くんか？｣

zm｢そんなんめんどくさいわ。俺が切る｣

ut｢はぁ！？ゾムさん髪切れるん！？｣

zm｢出来るわ、あほ｣

流れる様にゾムさんの部屋に連れていかれて髪を切る準備が整った