長い悪夢の救世主【wrwrd】 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:73,482 hit

18夜目ページ18

ゆっくりとスプーンが動かなくなっていった

周りの幹部さん達はご飯を食べ終えてゆっくりしてたり雑談と言うものをしてたりする

｢どうしたんAちゃん、もう食べれんの？｣

隣で黒い液体を飲んでた鬱くんが声をかけてくれる
お腹がはち切れそうだ

お皿の上には半分オムライスが残ってる

『ごめん、なさい
折角作って貰ったのに全然食べれなくて...』

鼻の奥がツンとした
目がじわっとあたたかくなる

視界がぼやけてほっぺたが濡れた

｢え！ちょっとAちゃん！泣かんといてや！
大丈夫やから！！｣

鬱くんが慌ててるのが分かる
けど全然止まらない

終いには鬱くんに抱きしめられる形になって頭を撫でられた

あったかい

｢あ、大ちゃん泣かせたの？｣

｢いや、ちゃうんやって！

...多分、今まで食べてなかった分胃に入らんくなったんやと思う
ほんで食べれんくて罪悪感で泣いとるん...かな？｣

私に聞いてるのかな

ちっちゃく頷いておいた

声色が柔らかくなった
笑ってるのかな

優しいな

柔らかいな

残しちゃった、怒られるかな

鬱くん達はしないと思う

そう分かってても頭に焼き付いた今までの記憶が蘇る
痛くないはずの傷がじくじく傷んで
怖くて身体が震えた

キュッと抱きしめられる力が強くなる

ずっと浴びていない太陽の光を思い出す

光に包まれてるみたいに暖かかった

でも、鬱くんは太陽より月の方が似合いそうだな

頭の上で動く手と抱きしめられる腕の力に身を任せた

静かに意識が遠のいていくのが分かった