長い悪夢の救世主【wrwrd】 (ページ17)

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17夜目ページ17

｢まぁええから、沢山食べ。あんた痩せすぎやろ｣

『まともに、ご飯食べてなかったので...』

さっき会ったトントンさんにご飯を進められた
事実を伝えれば申し訳なさそうな顔をした

｢ほら、Aちゃんこっち
僕の隣で食べよ｣

鬱くんの隣に座る

周りの人は呆れたような顔をする

｢まーた大先生女の子やからって｣

｢いや、シャオちゃん。今回はちゃうわ
普通に下心はないで｣

幹部さんの中でよく分からない会話が飛び交う
鬱くんによそってもらった食べ物を口にした

『おい、しい...』

思わず口から漏れる

なんだろうこの食べ物
ふわふわの卵、中には赤いお米
昔食べた気もするけど思い出せない

｢ほんま？良かったわ。それ俺が作ったんやで｣

嬉しそうに笑うトントンさん
なんて家庭的なんだろう

でも幹部さんなのに自分で料理作るんだ

『すごいです、でもトントンさんが作らなくても作ってくれる人が居るんじゃないですか？』

｢あーそれな、幹部は幹部で作って食っとんや｣

不思議な人達だ
偉い人たちがは自分で何もかにもしないのかと思ってた

『これ、なんて食べ物？』

｢んあ？これはな、オムライスって言うねん
チキンライスを卵で包んでケチャップかけるんやで
気に入った？｣

『そうだ、オムライス
好き、気に入った』

｢そっか、なら良かったわ
また作ってもらおうな｣

鬱くんの優しい笑顔
うんと頷けばもっと嬉しそうに笑った

｢なぁ大先生、なんで大先生だけ敬語じゃないん｣

不満そうな声が後ろから聞こえてくる
振り向けばオスマンさんが口を尖らせていた

｢それはーあれよ。僕の特権｣

｢えーずるいやん。俺もタメ口がいいー｣

その言葉を聞いて連鎖的にブーイングが起こる

ちょっと...私偉い人たちに敬語じゃ駄目なの...？

ごちゃごちゃ乱闘を始めた結果、敬語禁止令なるものが出されてしまった

お皿の上のオムライスはもう半分無くなっていた