長い悪夢の救世主【wrwrd】 (ページ16)

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16夜目ページ16

鬱くんの後ろを歩く

周りを見回せば綺麗な壁、明るい光の差し込む窓
その窓の外には綺麗な街並みと沢山の人達

笑顔の人なんて見るのいつぶりだろう
もう一生人の笑顔は見れないと思ってた

あそこの人達はいつも無表情で、どんな事でもしてきた
感情なんてあったのかも分からない

沢山の色を見るのも久しぶり
鬱くんの青、しんぺい神さんの水色
街並みの黄色やオレンジ、柔らかい色

あの場所は私のどす黒い赤か無機質な白しか無かったから明るい気持ちになれる

｢ここやけど大丈夫？｣

『はい、大丈夫、です』

｢無理やったら無理って言ってや？
あと、その堅い喋り方やめて？アイツらに差見せつけたいからさ｣

にひっと笑った鬱くんに否定の言葉をかけても譲ってくれなかった
結局私はお偉いさんに敬語を使わないという事になった

殺されないかな

｢開けるよ～｣

しんぺい神さんの声で大きな扉が開く
中からはガヤガヤとした声が聞こえてきた

沢山の人が、楽しそうに話してる

当たり前の事だったものが今は幸せに感じる

｢遅いで大先生！ペ神...その子、誰や？｣

良く通る大きな声が鼓膜を揺らした
親しみを込めた声から警戒の冷たい声に変わっていく

｢この間の子やん。こないだ連れて来た女の子。起きたんやな。良かった｣

さっきと変わって静まり返った部屋に違う声が聞こえた

聞こえた方を向けばコツコツと靴の音を鳴らしながら緑色の人が近づいてきていた

私の前で立ち止まると腰を折って視線を合わせた

｢初めまして、俺オスマンって言います。
この国で外交官やってます、よろしくな｣

ふわふわっとした人は見た目と合わず少し低い声で私に話しかける
安心する声だった

『外交官...？』

｢えっとな、他の国の人と話して仲良くなったりこんな事するのでこんな事してくれませんか？って他の国と取り引きすんのを外交って言うねん。それの専門、担当の人を外交官って言うんやで｣

『ありがとうございます...』

｢いーえ｣

にこやかにオスマンさんは知識を分けてくれる
ありがたい限りだ

オスマンさんをきっかけに自己紹介が始まって沢山の事を教えて貰った
みんなそれぞれ優しくて、明るい人達だった

こんな幸せ、私が味わっていいのかな