Chapter 13... ページ15
さすがにこのままいるのは悪い。
早急に立ち去ろうと米屋と目配せするが時すでに遅く。
そそくさと立ち去ろうとした、振られてしまった側の男と運悪く合致会ってしまったのだ。
気まずいのは分かるが、動きが俊敏過ぎないか？
「 悪い、見る気は無かったんだが… 」
「 いや大丈夫。こんなところを選んだボクが悪いし。 」
知らない男。
だが見る限り同学年で別クラスの男だろう。
何も言えずにいると、吐露したかったのか「 振られちゃった、 」と苦笑いし、頬を掻いた。
他人事じゃないような気がして、まだ何も言えない。
「 藤原由良さんと仲良かったよね？ 」
「 おー、でも揶揄ったりしねーよ？ 」
「 はは、そんな人たちじゃないって分かってるよ。合ってる人か確認したかっただけ。 」
「 そうか。 」
それじゃあ、と言うかれの顔は傷付いていて、でもスッキリした顔をしてきて。
同性ながら、カッコイイなと思ってしまった。
茫然と彼の背中を見えなくなっても見つめていると、米屋が背後から近付いてきた人物に気付く。
「 おー！由良。 」
「 っ！ 」
二人を見ると、瞳孔が開く。
なぜここに？と顔だけで全てを物語っていた。
まあ無理もないかと由良をじっと見ていると、居づらそうに彼女が俯いた。
「 よ、ねやくんと出水くん… 」
「 悪いな。見る気は無かったんだけどさ。 」
「 ……ううん、大丈夫だよ。」
静かに首を横に振る。
告白現場を友人に見られたことがそんなに嫌だったのだろうか？
まあ、確かに嫌だろうな。
髪に隠れて表情は隠れているが、困ったように俯いている由良の様子を見て申し訳なくなってきた米屋はすぐにフォローした。
「 も、もちろん揶揄ったりしねーよ！今日のことは忘れる！な？ 」
「 お、おう…… 」
「 ……ありがとう。そうして貰えると、嬉しいな。 」
「 …き、気をつけて帰れよ！ 」
「 うん。米屋くんと出水くんもね。 」
いたたまれなくなったのか、小走りでその場を離れる。
それは米屋も同じだったのだろう。気の抜けたため息をついていた。
お互いがお互いに気を使っていた。
出水は先程から何が思い詰めたような表情を浮かべている。
「 出水ー？ 」
「 わり、先帰ってろ。 」
「 は！？今のに感化されて告白しに行く気かよー！？ 」
「 うるせえ！ 」
米屋の声に反抗しながら走った。
この気持ちが無くならないうちに、後悔しないように。
放置していては、ダメな気がした。
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作者名：- | 作成日時：2023年5月10日 22時
