Chapter 11... ページ13
「 おー！遅れてきてたけど、どうだったんだよ？ 」
「 殴っていいか？ 」
「 出水くん、野蛮。 」
当然、かなり遅れた。
事情を説明したところお咎めなしだったのだが、代わりに二人からお咎めに近い尋問を受けることに。
あの気苦労を知らず楽しそうに話してくる米屋に思わず拳が出そうだった。
疲弊していると何があったのか根掘り葉掘り。
「 なあなあ、何あったんだよ〜 」
「 なんもねーよ。 」
「 本当に？ 」
「 おう。 」
「 はい嘘〜 」
「 ちょっと分かりやすすぎて心配になるよ。 」
「 〜〜〜っ！うぜー！！ 」
"何かあった"に決まってるだろうに。
何もなければ授業に遅れることも無く、教室に入って出水が人知れず頭を抱えることは無かっただろう。
知っていて聞いているからタチが悪い。
無言を貫いていると、二人の声では無い第三者がこちらに来た。
誰だ、と見れば話の的の人物で。
「 お姉ちゃん。 」
「 A、どうしたの？ 」
「 今日委員会の仕事あるから先帰ってて。終わったら帰るね。 」
「 分かった。お母さんにも伝えとくね〜 」
用事はそれだけだったらしく、そのまま自分の席に戻って友達との会話に花を咲かせた。
ぼーっと見ていると、米屋に背中を叩かれる。
思いの外痛かったので、呻き声を上げてしゃがみこむ。
申し訳ないと思ったのか少し慌てて謝罪しに来た。
「 楽しい時間過ごせたみたいで何よりね。 」
「 誰もなんも言ってねえけど。 」
「 分かるの。ね、米屋くん。 」
「 おー 」
「 さいですか、 」
これ以上突っかかるのはやめよう。
そうしたのは自分でも賢い判断だと思う。
由良は楽しそうにしていたのだが、少し残念そうに落胆した声をあげた。
「 でも残念、閉じ込められて愛のハプニングとかはやっぱり起こらなかったんだ… 」
「 ……は？ 」
「 でも確かに、わざわざドアを閉めて作業しないのよね。あ、もちろんそうなった場合はすぐに助けに行ったからね？ 」
「 まて、何の話だよ。 」
自分の勘が外れていなければ。
いや、ここまで来ると外れて欲しいとすら願ってしまう自分がいる。
聞きたくない、と思いながら彼女を見ると、手元に再び紙が持たれていた。
ただし、
片方は既に返却した、先程貰った頼みの文言。
もう一枚は、ドアの閉め方開け方のコツ。
「 でも、なにか進展あったようでよかった！ 」
「 お前らァ！！！！ 」
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作者名：- | 作成日時：2023年5月10日 22時
