HiGH&LOW by S. - ２ -

５５. ページ8

、



A「ねー、ついでに今日の晩御飯なににする？」


コ「んー」


A「んー、じゃなくてさ」






あの後 何故かチハルをITOKANに戻したコブラが、彼の代わりに私とお使いを頼まれるようで。



ついでに今日の晩御飯の材料を買ってしまおうとカゴを持つ私に、いつか青春映画で観たように寄りかかるコブラ。






A「しんどいの？」


コ「いや」


A「重たいよ」


コ「うん」






ズルズルをと彼を引きずって店内を移動すると、他の来客が不思議そうな目でこちらを見る。






A「ねぇ〜」


コ「んー」






彼の体温を近くに感じたまま、なんとか買い物を終わらせた私の手から買ったものの入った袋を奪い取る彼。






A「一つ持つよ？」


コ「ん、」


A「え？」


コ「…、」






二つある袋の片方を持つ、と言うのに、彼が差し出すのは自分の左手。



それはあれか？

そういうことなのか？






A「…っ、」






差し出されたその手に自分の手を伸ばすと、もう少しで触れるというタイミングでギュッと握られて。



カァッと体温が一気に顔に集中するのがわかる。






コ「手、冷てぇ。笑」


A「こ、心があったかい証拠！」






焦ったようにそう言った私を、コブラは笑みを浮かべて微妙に空いていたその距離を引き寄せた。






ナ「遅い」


A「……、言い訳させてください」


ナ「知ってる。チハルから聞いた。大変だったな。笑」


A「うん。なに言ってるかよくわからなかった」


ナ「だろうね。……てか、なんかあった？」


A「えっ？！」


ナ「頬、ゆるっゆるだけど。笑」


A「ｳｯ…」


ナ「聞かせろこのヤロー！笑」






しっかりちゃっかり事情聴取されましたとさ。

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