52. ページ5
、
瑩『お前、つまんなそーだな』
始まりは、彼のそんな一言だった。
生まれた頃から何不自由なく両親の愛を受けスクスクと育った私は、中学三年の進路を決める頃に やりたいこと、なりたいものがない と気がついた。
A『は?』
甘やかされて育ったわけでもないし、かと言って厳しく育てられたわけでもない。
わりと放任主義だった両親は、いけないことはいけない、楽しいことは楽しみなさいと私を比較的自由にしてくれていた。
瑩『は?じゃねぇよ。俺お前の三つ上だかんな。笑』
だからと言って私は両親を困らせたことはなかったし困らせようとも思ったことはない。
ただ、行きたい高校も、これからなりたい職業も、やってみたいことも、なにもないんだ。
そう両親に話した時も
あなたのやりたいようにやればいいのよ
って優しそうに聞こえるが芯は中途半端な言葉は返さずに、
そうねぇ。あ!CAさんとかは?
お母さん昔なりたかったのよねぇ
なんて案を出してくれた。
A『だからなに』
偏差値は中の上くらいだったし、結局まぁまぁな高校に進学してボーッとしてたら、三年生の進路を迫られる時期になっていたっけ。
瑩『お前、今日からここ……、達磨一家に入るんだろ?』
特に誰かに恨みがあるわけでもなかったし、喧嘩なんて以ての外だったけど面白半分でここの人についてきたら、知らぬ間に入団する形になっていて。
瑩『今日から俺ら相棒だぜ〜。タッグ組んでいろいろ頑張ろうな』
そうやって笑った男に うざいなこいつ と思った。
瑩『はい、お前の法被』
A『おぉ…!』
瑩『お!よく似合ってんじゃん。馬子にも衣装って感じだな』
A『うっさい!』
やりたいことがなかったから余計にのめり込んだのかもしれない。
どんな荒行でもなんの文句もなくこなしてきた私は、それが正義だと思い込んでいた。
2276人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
tosaka0312(プロフ) - ようさんじゃなくてぎょうさんですよ!!! (2018年3月21日 18時) (レス) id: d82946a3f5 (このIDを非表示/違反報告)
AGEH - 更新楽しみにしています!この作品大好きです! (2016年3月9日 21時) (レス) id: 26696041e1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - なんちさんと一緒で何回も見てます。今度の更新も楽しみにしています! (2016年2月16日 16時) (レス) id: 86817223d9 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - スフィンクスさんが紡ぐお話ものすごく好きです。岩田メインの以前書いていたsmile againは消してしまったのでしょうか??お気に入りの作品だったのですが…。 (2016年2月15日 19時) (レス) id: f6ab7ca903 (このIDを非表示/違反報告)
なんち(プロフ) - この小説好きすぎて何回も読み返してます!更新楽しみにしてます! (2016年2月13日 14時) (レス) id: 1952de0a1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スフィンクス | 作成日時:2015年12月15日 23時