HiGH&LOW by S. - ２ -

７０. ページ23

、



チ「どう、なってんだよ……」






隣のチハルがぼそりとそう呟いた。



その言葉に、俺も激しく同意である。






日「避けてねぇでさ！」


A「っ、」






先ほどAが受け止めた拳と間髪入れずに次々と振り下ろされるそれに加えての蹴り。






日「ちょっとはやり返してみればぁ？笑」


A「、」






Aは、普通じゃなかった。






日「それともなにか？ 瑩の件以来暴力からは手を引いたのか、」


A「…っ、」


チ「Aさん！」






瑩 その名が日向の口から飛び出した瞬間、Aの動きが鈍って。



チハルの声に反応して 彼女の顔面目掛けて飛んでくる足をなんとかギリギリのところで防御したものの、その勢いを防御することはできなかったらしく倒れこんだ。






Aは普通じゃない。



動きはどう考えてもこういう類の乱闘経験者…、それもプロアマで言うとプロに分類される方だ。



なるほどつまり






日「それで、達磨から逃げ出したのか」






元 達磨一家


ということか。






日「お前ら仲良かったもんな〜。相棒相棒っつってさぁ。まぁその相棒をあんな目に遭わせたわけだけど？笑」


A「っ、」






ギリ…、とAが奥歯を強く噛み締めた。



とにかく何が起きているか、この二人の会話の内容の意味がわからない山王はただしきりに視線を左右に動かす。






日「なぁA。今ならまだ許してやるよ」


A「…、」


日「戻ってこい？達磨に。そんで、瑩あんな目に遭わせた原因の奴ら、ぶっ潰しに行こうぜ」






口角だけを上げる、妖しげな笑み。



何を考えているのか読めない、そんな目の奥に潜む闇が今にもAを飲み込んでしまいそうだった。

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