HiGH&LOW by S.

４１. ページ42

、



ヤマトに続いて無名街に忍び込む。






ヤ「…、」


A「…、」






上に一人、後ろに三人、さすがに彼らの巣なだけあって見つかるのが早い。



ヤマトはしばらくつけられていることに気がつかなかったようだが、ある時突然立ち止まって後ろを振り返った頃には、気がついたようにハッとした表情を見せた。






ヤ「Aっ！」


A「えっ、わっ！」






ダンの時同様に腕を引かれて走り出す。



ジャングルのように入り組んだ工場地帯をいくら駆け抜けようとも、彼らはずば抜けた身体能力でいとも簡単に私たちを追い詰めた。







ス「よお ヤマト」






ヤマトが諦めて立ち止まったその先に、細身の男が一人。



RUDEBOYSがリーダー、スモーキーだ。






ヤ「久しぶりだな」


シ「女連れで無名街に引っ越しか。歓迎するぞ」


ヤ「探してる奴がいる。チハルって男だ」


ピ「知らねぇな」






見知らぬ男と女が迷い込んだ、ということで何事かと野次馬が集まり始める。



ダンは確かにここでチハルを見たと言った。



無名街の一角の工場で、SWORD地区ではご法度のドラッグに手を出し、あろうことかここで作られていると。






シ「そうかぁ。ありもしねぇ因縁つけて今度は俺らに手出すってわけか」


ヤ「なわけねぇだろ。だったらてめぇの妹連れてこい」


ス「ララ…？」


ヤ「いいから早く連れてこい」


ス「家族に手出すなら容赦しねぇぞ」






まるで聞く耳持たずな彼らに、その場には一触即発の不穏な空気が漂い始める。






A「…、」






何が起こるかは予測済み。



ヤマトは私を自分の背後に隠した。

４２.→←４０.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す