HiGH&LOW by S.

１６. ページ17

、



『やめろAっっ！死んじまうっっ！！』


A『離せっ！！』


『Aっっっ！』






誰かにとってどうでもいい話は誰かにとってとても大切な話で。



誰かにとって深い傷は誰かにとっても深い傷である。



誰にもヨめない闇が深くはびこるのが人間というもので−−…






A「瑩(てる)…」






真っ白な部屋の真っ白なベッドに横たわるその姿もとうとう見慣れてしまった。



誰にも言えない、私の汚れた過去。



その象徴が彼だ。






A「瑩…、もしあの時…」






もしあの時、もしあの時瑩が私を止めていなかったら…。



もしあの時、もしあの時止めに入る瑩の言うことを聞けていたなら…。






A「…っ、」






考えるだけでゾッとする。



冷や汗が一筋、背中を伝っていく。






A「……、」






長居は無用だ。



そもそも長居することすら嫌気を覚えるのだが、一向に目を覚まさない彼に話しかける言葉もなければ、ただひたすらに募る罪悪感に耐えられるほどの強い根性も持ち合わせていない。



病院の長い廊下に響く私の足音にもう一つ。






「…」






曲がり角から現れた長身でガタイの良い男性。



どこかヤマトと同じ印象を受ける、全身黒で揃えた男性は真っ直ぐと前を見たまま私とすれ違った。






A「……っ、」






オッドアイの−−…


長身でガタイの良い−−…


不敵に笑う笑みが−−…






A「……こ…はく…」

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