ヘリオトロープ【HiGH&LOW】

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「ちいーっす」

「おお、テッツ、って、んん？！え？！」


ナオミの店の扉を開けたテッツの後ろに続いて、ゆっくり足を踏み入れた。
案の定、笑顔でこっちを向いたオールバック？モヒカン？変な頭の関西弁の男が目を見開いた。


「…ちす、」

「…何しに来た」

「コブラさん、こいつナオミさんの知り合いみてえで」


テッツがそう言ったタイミングで、厨房の奥からナオミが出て来た。


「え、A…？Aだよな？！」

「ナオミ、…久しぶり」

「なんだよ元気にしてたか？ あ、こいつ昔ちょっと面倒みてさ」


ナオミの言葉を聞いた例のコブラは、数回頷いた後 再び雑誌に目を落とした。


「そういうことなら、な」


食べ物を口に入れたまま笑顔を浮かべたチハルの事を匿った男。


「せやな。話、聞かせてくれや」

「ほらA、座んな。いつものやつでいいよね」

「うん、ありがと」


カウンターに座って、それぞれの名前を聞いた。チハルの時の奴はヤマト、関西弁の奴はダン。


「A、って呼んでください、」

「Aちゃん、俺ずっと思っててんけど、女なのにNo.2やんな？」

「あーうん、まあ」

「てことは例の100発のやつ、やったって事か？」

「いや、わたし、拾われたんだ」


私の言葉に興味を示したのか、コブラもすっとこちらに視線を向けた。


「喧嘩しまくってて、何もなくなった時、あいつに拾われた」

「あいつってのは…」

「あ、うん、あの馬鹿番長、」


ヤマトの言葉に返答した時、ナオミが料理を机に置いた。


「おまたせ」

「うわ、うわあなつかし、えー、うまそ」


久々に見たナオミの料理を前にしてわくわくしていると、隣にいたヤマトがふっと吹き出した。


「…なんだよ」

「いや、お前そんな顔すんだなあって。No.2ってくらいだからずっとこえー目してんのかと」

「なに言ってんだハゲ」

「いって、なにすんだブス」


ナオミとヤマトのやり取りを横目に、料理を口に運んだ。久々に食べた味に、昔のことを思い出しふと目の前が潤む。


「…うまい、本当、変わんね」

「またAに食わせられる日が来るなんて思ってなかった、よかった」


結構な空腹だったようで、あっという間に食べ終えると、ナオミに礼を言いコブラの方に体を回した。


「…なんだ、」

「こないだは、うちの馬鹿野郎が世話になった」

「…ああ」


何故か少し微笑みながらコブラは返答した。


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